戦場でも結婚式が行われていました。戦時下にあったイラクで取材を続けていると街中から太鼓の音が響きわたり、飾り立てた車が街中を走り回っている。そこには新郎新婦が乗っていて、地域の方々に結婚の挨拶周りをする姿。戦場の中であっても結婚式が盛大に行われていることに衝撃を受けました。
日本では結婚式を迎えるにあたってウエディングプランナーの方々の支えが大きな力となり、美しく感動的な結婚式が催されます。実は混乱が続いたイラクの中でも結婚式を支える方々が存在していました。新婦に華を添えるメイクさんが活躍し、ウエディングドレスを選ぶ衣装屋さんが飛び回る、さらにお花までもあつらえてくれる。結婚式に関わるすべての段取りを進めていました。
戦争がはじまる前、恋人たちはお互いの愛情を確かめあいます。それは二人の命を思いやること。もし戦争でお互いの身に何かあったとき、愛する人をなくしてしまう。そんな悲しみを背負うのであれば戦争が始まる前に結婚をしよう、愛を確かめ合おう、それが戦場に生きる恋人たちの想いでした。結婚をすることで愛を誓い、戦時下を生き延びればそこには家族としての喜びを見いだすことができる。生きぬく希望が恋人たちの絆そのものでした。
悲しい戦争が終われば家族の時間を持つことができる。たくさんの子供たちが生まれてくれる。戦後のイラクではベビーラッシュを迎えていました。病院が多数破壊されている中でも、女性たちは地域の支えで子供を出産することができました。ベビーラッシュは新しいイラクの誕生を意味しているようでした。
戦火の結婚式、そして新しい命の誕生はイラクにとって希望を感じ取れる大切な祝福の時でありました。
イラクの方々にとって、家族をもつこと、子供たちが誕生することは生きる喜びそのものであり、大きな希望と勇気がわいてくる家族の絆を噛み締める瞬間でもあります。世界中どこにおいても子供たちは生きる力、子供たちが新しい国を支えてくれる希望そのものでありました。戦火の恋人たちの幸せを願います。
渡部陽一わたなべよういち
戦場カメラマン
1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…
人権・福祉|人気記事 TOP5
「食」と介護 ~その一口で笑顔になれる~
小山朝子のコラム 「介護の現状~専門家の視点から」
世界の子供たちの水問題/蛇口をひねっても水はでない!
渡部陽一のコラム 「世界の戦場から平和を考える」
テロリストと戦う女の子
渡部陽一のコラム 「世界の戦場から平和を考える」
人権を考える、障害をもつ人の自立は自分達から
河合純一のコラム 「夢は実現してこそ夢」
講演・セミナーの
ご相談は無料です。
業界21年、実績3万件の中で蓄積してきた
講演会のノウハウを丁寧にご案内いたします。
趣旨・目的、聴講対象者、希望講師や
講師のイメージなど、
お決まりの範囲で構いませんので、
お気軽にご連絡ください。