食卓を囲む環境は世界各国で千差万別、世界では食事を食べられることは決して当たり前ではないことに気づかされます。戦場はもちろん、世界中の国で食事が普通に手に入るものなのか、手にした食事は十分に子供たちに届けられるものなのか。戦場で暮らしている子供たちの食生活見ていると一日一回だけでいい、ごはんを食べることに想いをはせていました。家族皆で力を合わせて食料を確保すること、食べるために子供たちまでも働いている現状がありました。
アフガニスタンでは結婚式など特別なお祝いの席があると地域の有志たちがお金を出し合って村人にごちそうを振る舞います。スペシャルケバブと呼ばれるその料理はヤギ一頭丸ごとグリルして皆で一緒に食する大きな喜びの時間となっていました。そのアフガニスタンの戦場で戦う米軍兵士たちの食事はアメリカから空輸された冷凍食品を戦場で調理して兵士たちが戦闘の合間に食していく。まさにアメリカンフードの味とボリューム、高カロリーの食事は戦場で生きる兵士たちの力の源でありました。
アフガニスタンに軍隊を派遣しているEUの本部があるヨーロッパのベルギーでは、レストランで地元の方々がムール貝を食しながらお話に華をさかせていました。驚いたのは地元の女の子が日本食レストランでラーメンを家族で食している光景でありました。
アフガニスタンのお隣にあるパキスタンの若者たちは、大学生の男女がお金を持ち寄って、屋外喫茶店でお茶とスイーツを楽しんでいました。この国では一人で食事をするという習慣はまれで、必ず友人や家族で食卓を囲むことが大切な時間となっていました。それでも混乱が続く情勢下では貧困との戦いに国民が直面しており、食事がない家庭に配給するためのピラウと呼ばれる炊き込みごはんを地域の男性たちが大きな釜で炊いている光景も目にしました。
中東のレバノン紛争で避難した家族は持ち合わせの食料をみなで分け合って生き抜いていました。老若男女家族みなが一緒にいることが生き延びる最大の力であり、爆撃の中、食事をするときにも必ず家族で寄り添っていました。
日本の食生活はいつでも自由に食べることができ、さらには食事を選ぶことまでできます。この食生活は世界から見るとあまりにも魅力的で、奇跡といえる食の環境でありました。
渡部陽一わたなべよういち
戦場カメラマン
1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…
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