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コラム 人権・福祉

2020年04月23日

新型コロナウイルスと紛争地の医療事情

 世界各国がウイルス制御不能状態に陥っている新型コロナウイルスの爆発的拡散。ウイルスという目に見えない存在は、未知ゆえにウイルスと戦うべきか、共生関係を保っていくべきか、双方の議論が絡み合っています。

アメリカやイタリアの医療状況はまるで戦時下の野戦病院を想定させるほど逼迫。一国だけでは対処することができない、まさにパンデミック(世界的大流行)の恐怖を誰しもが肌で感じています。

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 世界配信のニュースは新型コロナウイルス一色。世界情勢の報道から各国の具体的な動きが見えてきます。2011年3月から内戦が続く中東シリアでは、国境封鎖状態が続きながらも新型コロナウイルスの感染者が確認されました。

現在も北西部イドリブ県では戦闘が続き、難民キャンプや避難所での医療状況は崩壊状態。新型コロナウイルスの拡散を押さえ込むことは限りなく困難な状況に陥っています。中東・北アフリカのアラブ地域では戦時強権体制に置かてきた国が多く、医療状況の正確な情報をすくい上げることは不可能に近いと指摘されてきました。

医療数値が操作されれば感染爆発を押さえ込むことはできません。新型コロナウイルスだけでなく、今そこにある危機といえる戦闘の犠牲者を支える医療事情に改めて注視が必要となっています。

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 スーダン西部で発生したダルフール紛争では一つの難民キャンプ地に約1万人の家族が収容されていました。その避難者たちに寄り添っていた医師の数は1人。

マンパワーとしての数が圧倒的に厳しく診察待ちが数日間に及び、幼き命が奪われていく現状を目の当たりにしました。世界中の紛争地に赴くと、それぞれの地域で世界各国の医療従事者がボランティアとして診察に励んでいました。

医療状況の格差というものは、情勢が不安定な地域であればあるほど、深刻な問題となっています。救うことができる命を救うことができない現実に気づくことは、地球規模での医療連帯の動きを加速させていきます。

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 新型コロナウイルスによる感染の拡大による医療格差で、生きる術を奪われていく方々が世界には膨大な数として存在している今だからこそ、医療分野での国際連携が戦争や紛争、民族や宗教の衝突を越える生き抜く力であると信じています。

渡部陽一

渡部陽一

渡部陽一わたなべよういち

戦場カメラマン

1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…

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