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2013年05月20日

アフリカ・モザンビークの少年漁師

母なる大地アフリカ。アフリカ大陸とは私にとってカメラマンになるきっかけとなった大切な場所であります。そしていまだに今年1月に発生したアフリカ北部のアルジェリア人質拘束事件を筆頭に、東部ソマリアのテロ組織アルシャバブ、中部ナイジェリアの武装組織ボコ・ハラムなどテロの拡散が続いています。

watanabe_201305-6.jpgwatanabe_201305-3.jpgにもかかわらずアフリカ南部一帯だけはテロ活動からは一歩距離を置いた情勢を保ち続けています。この地域は欧米からの膨大な投資や国立公園での観光業など経済成長の要素が複雑に絡み合い、新しいビジネス拠点となっている要因があります。そんなアフリカ南部にあるモザンビークという国で沢山の子供たちと出会いました。

もともとこの国はポルトガル領であった時期が長く、共産主義闘争や軍事クーデターの歴史を乗り越えてきました。飢餓、医療不足といった緊急課題からは一歩抜きん出た存在でもあります。隣国である南アフリカ共和国では、アフリカ大陸初のワールドカップが2010年に開催されました。その恩恵は周辺国にも及び、モザンビークへの投資は上昇気流にのっています。モザンビークはインド洋に面した美しい国で、日本とのつながりは多岐にわたります。その中でも特にエビの輸入に関して、日本はモザンビークに頼りきっているほどに新鮮で日本人好みのエビが手に入ります。

そんな美しきモザンビークの首都マプト郊外を歩いていると、手作り感溢れる手漕ぎボートが海面に沢山浮かんでいました。近づいてみると浜辺から子供たちが次々と姿を現し、挨拶の手をさしのべてきます。辺りはインド洋からの海風が漂い、子供たちの足もとはみな裸足。彼らは漁師の子供たち。小さいときから両親の仕事を手伝い、将来は漁師として仕事を受け継ぎ、大家族を養っていく。生まれながらにして漁師に生きる伝統がここにありました。子供たちが手にしているバケツには山盛りのカニが山盛りに入れられていて、1kg約300円で売りさばいていました。市場で買うよりも浜辺で購入する方がお得だと力説していました。

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watanabe_201305-2.jpg学校教育を受けながらも放課後や休日に漁を手伝うことは、家族が暮らす為に避けれられない現状であります。アフリカ大陸のそれぞれの地域に根付いてきた歴史と伝統、周辺諸国とのつながり、逃れられない生活環境。家族を養い、先代の意思を引き継いでいくことは、年齢問わず暗黙の了解となっていました。仕事に誇りを持ち、故郷を愛する子供たちの姿は、元気と希望に満ちあふれています。漁師としての技量を幼少期から学び、師匠となる先輩たちの薫陶を受ける絆がここにありました。たくましい少年漁師たちに敬意を表します。

渡部陽一

渡部陽一

渡部陽一わたなべよういち

戦場カメラマン

1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…

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