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2021年07月13日

駐留アメリカ軍・アフガニスタン撤退

アメリカ・バイデン大統領は2021年8月末までにアフガニスタンに駐留するアメリカ軍の完全撤退を表明しました。首都カブール北方にある米軍最大拠点バグラム空軍基地からは既に米軍撤退は完了済み。期限とされた2001年9月11日ニューヨーク・ワールドトレードセンター爆破テロ事件から20年の節目となる2021年9月11日の撤退計画は早められることになりました。

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今後アフガニスタン情勢はどうシフトしていくのか。その兆候はすでに見え始めています。今年5月からアメリカ軍の段階的な撤退作業が進んだことで、国内各所に兵力の空白地帯が発生。隙間を狙った過激派が群雄割拠状態となりテロ攻撃が拡大。アフガニスタン政府による治安監視体制は過激派を抑え込めず、すでに国土の約40%がイスラム組織タリバーンの支配地域に置かれてしまいました。アメリカ軍からの権限移譲を進めたアフガニスタン国軍・警察の抑止力も効果は薄い状態です。

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アフガニスタンではタリバーンや過激派イスラム国、地域や部族制に根付いた武装組織が乱立し治安環境は悪化の一途。アメリカ軍撤退条件を引き寄せたタリバーンとの和平合意要件は守られておらず、アフガニスタン政府との和平交渉も拒否されている現状。アフガニスタンは今、多数の過激派が野に放たれた状況に陥っています。

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アメリカ政府がアフガニスタンへの軍事介入を掲げたテロとの戦いは、アメリカ史上最長となる約20年の戦いで終止符を打ちました。激変する世界情勢のうねりは、軍事力を前面に掲げる戦いから情報戦術にシフトしています。特に中国の巨大経済圏の脅威、反米強硬路線を強めるロシアやイランの存在、アメリカ政府は敵対する専制主義国家への宣戦布告を発表しました。これまでの多数の兵士や武器を運び込んだイラク戦争やアフガニスタン紛争とは外交圧力のベクトルが変わってきています。かつてトランプ政権時代における混乱の引き金は、各国の自国ファーストを強要し必要のない衝突を生み続けてきました。多様性を掲げるバイデン政権であっても、アメリカファーストの基盤は変わりません。アフガニスタンでの原理主義思想の拡大、同時にアメリカ的原理主義思想を外交戦術の動向から注視しておく必要があります。

渡部陽一

渡部陽一

渡部陽一わたなべよういち

戦場カメラマン

1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…

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