戦争を経験した国がどうかわっていくのか。日本も約69年前に戦争の悲劇を経験し、奇跡的な回復で現在の生活を送っています。世界中の戦争の悲劇を経験した国に飛び込んでみると、その国がどのように変わり進化していくのかを日本とはまた異なる視点で見ることができます。2001年のワールドトレードセンター爆破テロ事件のあと、アメリカ軍との戦いに疲弊した経験をもつアフガニスタンに入りました。
戦争の混乱から続く経済システムの崩壊やイスラム武装組織タリバーンによる内乱など負の遺産に悩まされ続けてきたこの国では、カルザイ元大統領の指揮の下、諸外国との関係値を高めることで多数の支援や治安復興のステップを歩んできました。戦場だったゆえに世界各国の力に依存せざるを得なかった環境が2014年の今、大きく変わる時期を迎えています。一つは新しい指導者を探るアフガニスタン大統領選挙。二つめは復興支援部隊として駐留していたアメリカ軍などの多国籍軍が段階的に撤退していき、警察と軍に治安権限が移譲されていくこと。アフガニスタンをアフガニスタンの方々自身が守り成長戦略を積み上げていく時期がきています。こうした新生アフガニスタンへの土台作りが目に見える形で進んでいる現状がありました。
その反面、国民の方々からは不安の声も聞こえてきていました。混乱で広がった格差や貧困問題が市民生活を大きく閉ざしている状況から抜け出せない現実。さらに武装勢力が再び力を盛り返し、地域や部族を絡めた内戦のような分裂状態になるのではないかという恐怖。実際、首都カブールの街中は検問の嵐となっており、買い物に行くだけでも警察やセキュリティー会社の尋問を突発的に受けることが多くなっていました。誰しもが治安の回復を願い、生活の安定を求める中で、新大統領がどこまでその手腕を発揮してくれるのかに大きな期待と不安が混ざり合っていました。山の斜面のバラック小屋で暮らす方々はこう言います。「子供たちを学校に行かせてあげること、これがまず第一の想いです。」新生アフガニスタンに期待します。
渡部陽一わたなべよういち
戦場カメラマン
1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…
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