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コラム 人権・福祉

2014年07月18日

親日国家 トルコのいま

 エジプト、イラク、アフガニスタンなど世界中で歴史の歯車がきしみ続けている中、日本とのつながりが深いトルコにもその渦が押し寄せていました。2013年5月に勃発したトルコのエルドアン首相退陣を求めるデモ隊がトルコ治安部隊と衝突、数千人もの負傷者を出したこの事件。格差社会の是正、安定雇用の要求といまだに局地的な反政府デモが勃発しています。このデモ衝突の主戦場となった経済都市イスタンブールのタクシム広場とゲジ公園に入りました。当時はトルコ国内一帯で反政府デモが行われ、中東民主化運動アラブの春にちなんだ、トルコの春という言葉までが囁かれていました。

 

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 反政府暴動が発生したゲジ公園は日本で言うと、東京の代々木公園のような存在で、市民の憩いの場所でありました。都市開発のために公園を無くしてしまうことが暴動へつながる最初のきっかけでした。そこではデモに参加する若者の血が流れ、監視が続き、メディア規制は激化、取材中の記者が拘束される事件も発生していました。現在は、市民の姿はもちろん、観光客の姿も戻ってきていますが、トルコの春の勃発点として私服警官による監視は続いています。

 

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 トルコは日本との関わりが深く、親日国家としても有名であります。2020年のオリンピック招致では、日本と最後まで接戦を繰り広げたのがトルコでした。日本とのつながりはトルコ建国の父、ケマル・アタチュルクが日本に敬意を表してくれていたこと、さらには1890年に和歌山県沖合で難破した貨物船のトルコ人船員を地元の方々が救出してくれたことなど、トルコと日本の関係は歴史をひも解けば解くほど、深いものがうかがえます。

 

 さらにトルコは世界の国々にとっても重要な存在といえます。EU(欧州連合)加入の論議も進んでいる中、イスラム教国として混乱が続く中東の国々との唯一の架け橋になり得る力を秘めています。欧米式民主主義を中東にそのまま当てはめることが困難な中、イスラム国家同士の関係値から中東情勢を国際舞台の交渉にあげていくシナリオの可能性は十分想定されます。ニュートラルな舵取りができるトルコの存在にはさらに注目していきます。

 

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渡部陽一

渡部陽一

渡部陽一わたなべよういち

戦場カメラマン

1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…

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