2022年、新型コロナウイルス感染拡大が依然世界規模で続いています。世界各国に目を向けると多くの地域で政情不安の予兆が確認できます。
アフガニスタンではイスラム主義組織タリバーンの厳格なイスラム思想に沿った国家運営が顕在化しており女性や子供たちへの人権抑圧、旧政権関係者への報復処刑が繰り返されています。タリバーン主導の報道規制が敷かれたことで諸外国からの接触が困難を極め国民の声が遮断されました。
中央アジアのカザフスタンでは燃料費高騰による反政府抗議デモが急拡大。約160名の死者、6000人以上の拘束者が確認され周辺国から治安部隊が介入する事態に陥りました。
中国北西部の新疆ウイグル自治区では、中央政府によるウイグル族への人権弾圧が世界規模で問題となっています。
南アジアのパキスタンではカシミール地方をめぐるインドとの領有権問題が続いており、ヒンドゥー至上主義を掲げるインドのモディー首相指揮下でのイスラム教徒監視体制に反発が続いています。
スリランカや観光大国であるモルディブでは中国の世界経済圏である一帯一路を巡る大規模債務の返済が滞り、国家運営に中国政府の介入を許す事態に国民の反発が高まっています。
東南アジアのミャンマーでは昨年の軍事クーデターで全権を掌握したミャンマー国軍が軍事強権体制を強要。昨年の段階で少なくとも1300人以上が犠牲となりました。
フィリピンでは強権ドゥテルテ大統領の任期満了を受け大統領選挙が今年5月に行われます。ドゥテルテ大統領の法規を無視した逮捕劇や殺害疑惑を問う政治闘争の激化は必至であり混乱は避けられません。
微笑みの国タイでも軍事体制の影響が残るプラユット首相への民主派の嫌悪、さらにタブー視された王室問題、特に税金で賄う不明瞭な王室資金用途が問題となっており予断を許さない状況となっています。
中東のシリアでは10年以上の内戦が継続しており未だ局地的な戦闘が繰り返されています。イラクでは駐留アメリカ軍戦闘体制解除を受け過激派再興の懸念。
隣国イランでは欧米諸国との核合意を巡る強硬な外交姿勢が加速。反米思想を牽引するライシ師が新大統領に就任したことで周辺アラブ諸国との軍事的な衝突の懸念も強まっています。
イスラエル・パレスチナ問題ではユダヤ教徒の入植問題や二国家共存に反発する武装蜂起が拡大。パレスチナ自治区ガザ拠点のイスラム組織ハマスとイスラエル治安部隊の報復攻撃が連鎖しました。
アフリカではエチオピア北部ティグライ州での政治利権を巡る民族闘争が激化。スーダンでも強権バシール大統領失脚後の政情不安が続いています。ソマリアやナイジェリア、モザンビークでは過激派の襲撃が続き治安部隊との衝突が拡大。
欧州方面ではロシアと欧米諸国の軍事衝突が懸念されるウクライナやベラルーシを巡る外交駆け引き。同時に大規模な移民問題が各国の国政を揺るがす事態に陥っています。
2022年の年始において世界規模で不安要因が深く絡み合っています。世界各国の危機管理体制の連帯が求められます。
渡部陽一わたなべよういち
戦場カメラマン
1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…
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