ウクライナ戦争から約5ヶ月。これまでのロシア軍による大規模攻撃では大量虐殺(ジェノサイド)が複数の土地で確認され、攻撃対象は軍事施設だけでなく一般市民の集合住宅にまで被害が及んできました。開戦当初から現在までウクライナの人口4400万人の約半数近くが国内外に避難生活を強いられており、多くの市民が諸外国からの支援に頼らざる得ない状況が続いています。
ロシア軍はウクライナ東南部一帯で黒海に沿った軍事回廊を構築。ドンバス地方のルハンスク州はすでに完全制圧下に置きドネツク州へ戦線をシフト。南部への要衝スラビャンスク陥落を目指した進軍を展開しています。東部の戦闘地域では大量破壊兵器クラスター爆弾の使用が確認されており、侵略戦争という国際法規を無視した残虐な戦争犯罪が繰り返されています。
長期戦に臨むウクライナのゼレンスキー大統領は欧州連合(EU)加盟方針を発表しました。すでにEU首脳会議ではウクライナ加盟候補を認定しており、戦時下にあるウクライナの国家体制や経済基盤への支援、将来の安定と公正を掲げた連帯を強めています。
戦闘地域においてはロシア軍への攻防を続けるウクライナ軍がロシア軍との捕虜交換取引を完了させたことが確認されています。南東部の港湾都市マリウポリのアゾフスタリ製鉄所に孤立した一部のウクライナ兵95名を含む合計144名をウクライナに帰還させました。同時にウクライナ側からも拘束した一部のロシア兵を送致しています。
ロシアの軍事侵攻は周辺国の国家安全保障体制を激変させています。北欧のフィンランドとスウェーデンは対ロシア軍事同盟であるNATO北大西洋条約機構への加盟が合意されました。加盟手続きには数ヶ月を要するもロシアへの明確な対抗姿勢を打ち出しています。NATO構成国であるトルコは当初、北欧2カ国のNATO加盟反対を掲げるも急遽参画支持に急転。フィンランドとスウェーデンが支援してきたトルコ国内での反政府クルド人組織への関与停止や凍結してきたトルコへの武器輸出再開の条件を確保しました。ウクライナ戦争が欧州のパワーバランスを激変させ、各国が安全保障と国益を絡めた外交戦術を加速させています。現時点においてウクライナでの戦闘停止の気配は見えていません。
渡部陽一わたなべよういち
戦場カメラマン
1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…
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