長期化するウクライナ戦争。ロシア軍による残虐な殺戮行為が拡大する中、ウクライナのゼレンスキー大統領は対ロシア勝利宣言を掲げた戦闘方針を発表しました。戦術として東部から南部を繋げるロシア軍事回廊奪還に戦力をシフト。諸外国からの最新戦闘兵器支援が局地的に功を奏し始めており、一部地域では支配領域奪還の成果が確認されました。ロシアのプーチン大統領は疲弊するロシア軍兵力を補強するため兵力定数増加への大統領令署名や徴兵制の募集枠組みの拡大など、さらなる長期戦を想定した戦時体制を編成しています。ロシア軍が実効支配地域とした東南部領域ではすでにロシア化が加速。ロシアパスポートの発給やロシア通貨ルーブルの使用、さらにはロシア主導の住民投票までをも強行しています。ロシア人居住者が多い東部ドンバス地方ルハンスク州はロシア軍が完全制圧下に置き隣州のドネツク州を押さえ込みながら北東部の旧都ハルキウへの攻勢を強めています。ウクライナ戦争初期に繰り返された停戦協議は首都キーウ郊外のイルピン、ブチャでロシア軍による大量虐殺(ジェノサイド)が判明したことで交渉は決裂。国連やトルコを仲介にした戦闘停止協議のシナリオが期待されるも、プーチン大統領は交渉継続を遮断し強硬政策を加速させました。
開戦から半年という月日はウクライナ戦争の影響を世界各国に飛び火させ、食糧危機の懸念が高い中東、アフリカ地域でウクライナ産輸入穀物の価格急騰を引き起こしています。国民がパンを買えないという生活基盤の不安が国家体制を揺さぶり、反政府運動や過激派の台頭の懸念が高まりました。さらにロシア産の石油や天然ガスを巡るエネルギー外交圧力も世界規模での混乱を深めており、ロシアによる欧州地域への天然ガス輸出停止や日本企業が絡む天然ガス事業ロシア国営化問題などロシア依存のエネルギー体制見直しが急務となっています。
ロシア暴走の危険を欧米諸国がこれまで何度も警戒してきたにもかかわらず侵略戦争という100年前のような戦闘行為が繰り返されました。特にプーチン大統領による核兵器使用の脅しに各国とも身動きが取れません。ウクライナでの惨劇を止めることができない現実を世界各国が再考する必要があります。大量虐殺(ジェノサイド)が今もウクライナで続いています。
渡部陽一わたなべよういち
戦場カメラマン
1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…
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