ウクライナ戦争勃発から約9ヶ月。ロシアのプーチン大統領による核兵器の脅しが加速しています。ウクライナとロシア両軍の戦況が拮抗する中で、ロシア軍が強行した核弾頭搭載可能弾道ミサイルの軍事演習。ロシア軍が保有する核弾頭は5795発で世界トップ。アメリカの核弾頭保有数は約5400発。プーチン大統領はウクライナ戦争開戦当初から核兵器使用の軍事圧力を発信しており、戦況次第で軍事演習大義の戦術核兵器使用の可能性が高まっています。戦術核兵器とは破壊威力が抑え込まれ被害拡散が限定される特徴があり、核兵器の段階的な使用を示唆することでロシア軍の兵力立て直し、ウクライナを軍事後方支援する欧米諸国を牽制する狙いがあります。実際に行われたロシア陸海空軍による核兵器搭載可能弾道ミサイルを使った合同軍事演習ではウクライナ北側の隣国ベラルーシのルカシェンコ大統領が自国領内でのロシア軍弾道ミサイル配備を容認しました。
プーチン政権の思惑として自国存亡の危機以外では核兵器使用を否定する発言が出されるも、同時に激戦が続くウクライナ東部ドネツク州で再びロシア軍による大規模な集中砲撃が開始されました。欧州諸国は核攻撃想定の危機管理体制にシフト。万が一ロシアが核兵器攻撃に踏み切った場合、各国の軍事連帯で対峙することを再確認しています。ロシア軍がウクライナ戦争における劣勢を打破するために核兵器という軍事力を誇示することはプーチン政権内部でも戦況を巡る動揺が深まっていることを示唆しています。
ロシア国内では兵力増幅のためのロシア国民部分的動員令の完了が発表されました。約30万人の兵力を確保し約8万2000人はすでにウクライナ領内へ派遣されています。部分的動員令完了は動員令の終了を意味せず今後もプーチン大統領による招集令の拘束力は継続していきます。前線での戦闘における一部予備役兵士の死亡も確認されておりロシア国内から反プーチンの狼煙が上がっている現実も見過ごせません。ウクライナ国内ではロシア軍による主要電力施設を狙ったミサイル攻撃が10月に急拡大。都市部での電力遮断、給水の断絶地域が広がり厳冬を迎えるウクライナのライフライン遮断戦術を突きつけられています。中南部ザポロジエ原子力発電所でもロシア軍の砲撃で繰り返し電源断絶の状況が続きました。プーチン政権はウクライナ侵攻に対しこれまで使用してきた特別軍事作戦という表現をウクライナ戦争にシフトさせると明言しました。この言葉はウクライナ戦争が第二段階に突入したことを意味しており世界各国が核兵器の動きを注視する時を迎えています。
渡部陽一わたなべよういち
戦場カメラマン
1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…
人権・福祉|人気記事 TOP5
忘れえぬ絆
中村勝雄のコラム 「つながるチカラ」
戦争に関わる宗教という存在
渡部陽一のコラム 「世界の戦場から平和を考える」
認知症。他人事だと思っていませんか?
小山朝子のコラム 「介護の現状~専門家の視点から」
講演・セミナーの
ご相談は無料です。
業界21年、実績3万件の中で蓄積してきた
講演会のノウハウを丁寧にご案内いたします。
趣旨・目的、聴講対象者、希望講師や
講師のイメージなど、
お決まりの範囲で構いませんので、
お気軽にご連絡ください。