世界各国、天災に見舞われた地域での取材で気がつくことは、国や地域によって、被害状況の規模が大きく異なるということがあります。その国の建築基準や街の区画によって、家屋の崩壊や避難経路の確保など、比較となる実証が多数目につきます。そして被災した現場では、復興に向かう支援のつながりが世界規模でひろがっていく傾向が21世紀にはより強くなったと感じています。
2004年にインドネシア近郊で発生したスマトラ沖地震を振り返り。被災した方々がいかなる環境で暮らさざるをえないのか。食料事情、医療機器・医薬品の現状、避難者に求められる支援物資を、だれがどこから届けていくのか、支援者自身が現場でどのような時間を余儀なくされているのか、疑問点を確認していきます。
被災現場では、目的とする場所にたどり着くことそのものが困難を極めます。道路を使った場合、道が陥没し閉ざされている。空路を使う場合、支援物資の輸送や被災者の避難が最優先、現場での混乱、時間との戦いのなかで、被災状況を一つ一つ判断していきます。国を問わず、被災地となった地域を回れば回るほど避難生活と復興への見地が深まっていきます。
被災現場で痛感したことは、世界中で発生した天災による被災者救助や支援データが重要視されていたことがあげられます。多国籍の支援部隊による強みと弱点を論理的に開示しておくこと。数値としてのデータと支援論理が現場での支援復興の効力を支えていました。
日本では2011年3月11日、東日本大震災、そして大津波とその犠牲は計り知れない悲しみをひき起しました。この震災の折、その声と支援をつなげた存在は、日本国内の支援者はもちろん、国際機関、世界規模の個人支援団の動きが大きな力を発揮しました。被災という現場で、同じ苦しみを踏まないための予防意識も確実に蓄積されてきています。
地震大国である日本、そしてインドネシアは日本以上に頻発する地震被害に悩まされてきています。各国の共通した危機管理環境のひろがりがお互いのもつ情報威力を高めてくれる。縦横無尽なつながりが被害や悲しみを和らげくれる。今出来る準備を整えておくこと、そして定期的に物心両面での危機管理をアップデートしていくことの重要性に気がつかされます。
渡部陽一わたなべよういち
戦場カメラマン
1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…
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