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2023年11月08日

イスラエル軍ガザ軍事侵攻

イスラエル軍によるガザ軍事侵攻により多数のガザ市民が犠牲となっています。今回は二回に分けて歴史、領土、宗教、民族が絡み合った中東情勢の核と言えるパレスチナ問題について触れていきます。

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軍事侵攻の引き金となったパレスチナ自治区ガザを拠点としているイスラム組織ハマス。ハマスとはイスラム抵抗運動の意味を持ち民衆レベルでのイスラエル抵抗組織として1987年にヤシン師が創設しました。2007年にガザ地区をパレスチナ自治政府側から武力制圧することでハマスの政治体制が完遂。ハマスは軍事部門カッサム旅団を主軸に武装闘争を展開するとともにガザ市民への教育、医療、福祉、インフラ支援など自治政府のような役割を担ってきた背景があります。ガザ市民にとってハマスとはライフラインを支えてくれたイスラム組織という存在でした。武闘派のハマスはアッバス議長率いるパレスチナ自治区政府に対してイスラエルへの弱腰交渉を繰り返し批判。特に1993年のオスロ合意によるイスラエルとパレスチナ二国家共存の政治体制を拒絶してきました。ここからイスラム組織として聖地エルサレム、パレスチナの土地奪還を目指す闘争を拡大させていきます。

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複雑な歴史背景が絡み合うパレスチナ問題の核心はパレスチナの地に1948年5月14日イスラエルが建国されたことに全ての要因が凝縮されます。聖地エルサレムを含むパレスチナの土地がイスラエルに奪われたことをパレスチナ人だけでなく周辺のアラブ・イスラム教国も猛反発。中東戦争の引き金となり、4度の中東戦争(レバノンに避難したパレスチナ解放機構とのレバノンでの戦闘を第5次中東戦争と捉える声もある。)から現在に至っています。特にイスラム教の聖地エルサレム岩のドームが存在する東エルサレム旧市街をイスラエルが現在も実効支配していることにアラブ・イスラム教国が猛反発してきました。

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ただ現代の中東情勢は情報共有や地域連帯に各国の外交比重が強まってきており、二国家共存の考え方や経済協力が中東全体のバランス外交の主軸となっていました。その際たる事象がイスラム教国の盟主を誇るサウジアラビアがイスラエルとの国交を回復させようとしたことです。この行為をイスラム教への侮辱と捉えたハマスが暴発に踏み切った所以と言われています。アラブ首長国連邦(UAE)やカタール、モロッコはすでにイスラエルと国交を回復済み。複数のイスラム諸国がハマスの存在を否定するかのような外交戦術をとることでハマス側が孤立感を感じ取っていた可能性があり、武装蜂起によりイスラム思想を各国に再興させる狙いがあったと言えます。
次回もパレスチナ問題に触れていきたいと思います。

渡部陽一

渡部陽一

渡部陽一わたなべよういち

戦場カメラマン

1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…

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