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コラム 人権・福祉

2016年01月20日

2016年の世界情勢

 2015年から2016年はじめにかけて世界中でテロとの戦いに巻き込まれる悲しい事件が続きました。フランスやベルギーなどで発生したイスラム過激派組織による同時多発テロ事件では、本来、戦争と最も遠い存在であった若者たちが実行犯として銃撃を繰り返しました。市民の日常という空間が戦場と重なってしまった光景は、もはや戦争という定義がなくなってきているという事実を突きつけたものだと感じます。

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 約15年前の2001年9月11日に発生したアメリカ・ニューヨーク・ワールドトレードセンター爆破事件から、テロという存在がより身近になり、事件のスピード性や多国籍性は制御がきかないものとなってきています。現在、世界中の紛争地と呼ばれる地域での悲しい衝突だけでなく、日本を含め欧州など生活の基盤が整っている一帯でも、危険にさらされることが多くなっています。単発の犯罪を通り越した国際テロリストという存在は、外国の遠い話ではなく、どの国でもその国で生まれ育った人物が事件を引き起こしてしまう可能性を秘めています。

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 テロとの戦いの恐怖は、誰に降り掛かってもおかしくはない。ジャーナリストやビジネスマンが狙われるだけでなく、一般の旅行者へのリスクもたかまっている。こうした危機管理が問われる環境は今まで稀な存在であったはずでした。いかに安全管理を整えておくのか、今の時代ではもはや一国だけでは問題を処理することはできません。情報や技術の共有はもちろん、個々人の情報管理・処理が問われています。

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 ここ数年、世界情勢は悪い方向にむかっているというのが悲しい現状です。事件が起きれば起きるほどお互いが疑心暗鬼に陥っていく。テロや難民の問題で、どの国でも過激な思想になびいていく傾向が重なっています。テロリストが目指す指針は、いかに社会を混乱させ、自らの主張を正当化することができるのかが主軸にあり、自らの存在意義をアピールする事件はより増えていくことが容易に想定できます。

 2016年はテロとの関わりを遮断する以上に、テロの温床を世界規模でどのように整理できるのか、その行動基盤に目をむけていきたいです。

渡部陽一

渡部陽一

渡部陽一わたなべよういち

戦場カメラマン

1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…

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