言葉が通じなくてもサッカーで友達になれる。世界中の子供たちと出会い、そう確信した。情勢が不安定な国では、学校にも行けない子供たちがたくさんいる。砂漠やジャングルの中で生活をする子供たちは、日々、家族を養うために家事はもちろん農業や放牧に明け暮れる。そんな子供たちにとってサッカーボールを追いかける時間は、最上の喜びであった。ボールが無ければ布を縫い合わせてサッカーを始める。布が無ければビニール袋を巻き付けてボールを作る。そして子供たちは笑顔でボールを追い続ける。そんな子供 たちの口からナカタという言葉を何度も聞いた。日本人プレーヤーがヨーロッパリーグで活躍している姿をサテライトチャンネルで見ていたという。サッカー人気は絶大であった。
イラクの子供たちは戦時下であっても、連日、サッカーの練習に明け暮れていた。このサッカーチームの監督は、イギリスのクラブチームを率いていたイラク国民の英雄。子供たちは監督から与えられる課題練習をひたすら繰り返していた。
スーダン、ダルフールでは避難民の子供たちが国際支援団体から贈られたビニール製サッカーボールを笑顔で見せてくれた。家も学校も失った子供たちにとって、キャンプ地内でサッカーをすることが一番の楽しみである。砂塵が舞う中、一日中ボールを蹴り続けていた。
中国、チベット暴動でゆれたチベット山岳地帯では、お寺の小坊主たちが日々の勤行の合間をぬってサッカーに熱中していた。ボールを見てみるとぼろぼろのバスケットボールであるが、サッカーをはじめれば関係ない。チベット僧侶の赤い袈裟を着込んだ子供たちがあどけない表情でボールを追いかけていた。
サッカーが子供たちを救う。世界の子供たちにとってボールは友達であった。
渡部陽一わたなべよういち
戦場カメラマン
1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…
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