紛争が続いているアフガニスタンでは今、英語塾に注目が集まっている。首都カブールでは、次々と英会話の教室が開校されており、学校での勉強以外に塾で時間を過ごす子供たちが増えている。アフガニスタンは本来、ダリ語と呼ばれるペルシャ語ルーツの言語を公用語として話す。しかし町中で出会うアフガンの方々と会話をしてみると、多数の人たちが英語を使いこなしていることに気がつく。誰しもがこう語る。「英語をマスターすることが定職に就ける最大の武器なのです。」
混乱するアフガニスタンでは、仕事を得ることは困難を極める。一般家庭の一ヶ月の収入は日本円換算で約4000円、定食屋で食事をすると一食300円はかかる物価の中では、この収入で家族を養っていくことは出来ない。そこで注目したいのはアフガニスタンに駐留するアメリカ軍の存在である。
実は、米軍部隊がアフガン人に様々な職種の雇用を提供している現状がみえる。事実、アフガン復興支援の為には米軍兵士だけでなくアフガン人の労働力が必要とされているのだ。米軍からの給料は平均の10倍以上。仕事のない住民にとって米軍からの仕事を得ることは、まさに家族全員生き延びるための最後の切り札となっているのである。そして、この職を得る為の絶対なる条件は”英会話ができること”。英語を話せることイコール定職を得ることを意味しており、子供たちはもちろん、大人までもが英語塾に殺到していた。
英語塾の先生は、自らの資材をなげうって教室を開校し、一人分の月謝400円を提示する。決して安くはないこの価格でも両親は子供たちを塾に通わせる。生徒たちは学校の終わった午後の時間から足を運び、アフガン人の先生から実践英会話を学んでいく。英会話をマスターすることが定職に直結することを生徒たちは理解しているので、授業中は真剣勝負そのもの。実際、生徒たちの英会話力をみると、日常会話は全く問題ないレベルまで誰しも到達しており、鬼気迫る集中力が語学力を大きく飛躍させていた。生き延びるために英語をマスターする、これがアフガニスタンでの英語塾の教育指針なのであった。
渡部陽一わたなべよういち
戦場カメラマン
1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…
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