『戦争は対話で解決出来る。』コロンビアのノーベル平和賞受賞者サントス大統領はそう語りかけます。南米のコロンビアで約半世紀続いたコロンビア内戦。国内最大の左翼ゲリラ・コロンビア革命軍(FARC)とコロンビア政府は交渉に交渉を重ね双方が停戦を合意。FARCは武器を置き、政治政党として政府との論議に参加することが決定しました。長期にわたるFARCとの内戦では多数の国民が犠牲となったため、今回の停戦合意を問う国民投票では政府の判断を否決する声が多数を占めました。ゲリラによる虐殺を許すことはできないことを国民はもちろん政府側も認識していました。しかし、サントス大統領はFARCだけではなく国民に対しても、未来のために今こそ一線を敷く必要があると訴えました。FARCと国民の架け橋になった実績は、似た状況に立たされる周辺国にも影響を与え、世界の注目を集め、その結果ノーベル平和賞が贈られることとなりました。サントス大統領、彼を支える政府関係者のねばり強い対話と活動が功を奏し、まさに歴史が動いた瞬間でした。
コロンビアが抱えてきた内戦は、貧困や差別など世界各国が直面する問題と重なります。東南アジアのミャンマーをみると、同じくノーベル平和賞を受賞したアウン・サン・スーチー氏が国家顧問として新しいミャンマーを牽引しています。長期にわたり軍事政権下に置かれてきたミャンマーは、軍部による慣習や情報統制がいまだ色濃く残っており、貧困問題、宗教・民族衝突など問題が山済みとなっています。特に西部ラカイン州での少数民族ロヒンギャ族難民問題は、膨大な数の避難民が流出するだけでなく、焼き討ちや虐殺が確認され過激派組織が付け入る状況が広がりつつあります。アウン・サン・スーチー氏も対応を急ぐことを公の場で発言しており、世界各国による連携が求められています。
戦争や紛争を解決する方法を模索し続けてきたのが人類の歴史であります。武力を使うのか、抑止力に頼るのか、日本に限らず世界中の国々が、外交政策を通じて衝突を回避するために選択肢を広げてきました。サントス大統領が宣言した、対話による戦争の回避というものは最もシンプルで斬新さを再確認できる手段であります。誰しもが忍耐を重ね、平和への実践に行動を移していきたいと願っています。2017年、南米コロンビアから戦争は止めることができることを学びました。戦場という陸の孤島を少しでも減らしていくことを願ってやみません。そこで暮らす方々の声を誰がどのように外部に知らせ得ることができるのか。
記者、ジャーナリスト、カメラマン、医療関係者、NGO等異業種の情報の連携も重要なものとなります。
コロンビアのサントス大統領が語る「対話で戦争は止められる」
これは夢物語ではなかった事実を忘れてはいけないのです。
渡部陽一わたなべよういち
戦場カメラマン
1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…
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