生きてゆくためにお金が必要になってくるのは、ラクをしようと思うからで、ラクよりも楽しいことをしようと思えば、そんなにお金が必要な生活にはならない。そんなことに気付き始めた1995年ごろ、「自然暮らしの会」を設立しました。なにかを他人にやってもらおうとしたり、ラクして簡単に手に入れようとしたりすると、その対価としてえらく出費しなければならなくなる。でも自分でやって、自分で必要なものを作ってしまえば、そんなにお金はかからない。「自然暮らしの会」は、HAVEよりもDOをモットーに、なんでも自分でやってしまおう。例えば、住まいも、食べるものも、そして遊ぶことだってすべて自前で作り上げよう。誰にも依存せず、気遣うこともなく、自由に、自然に暮らすために、とにかくなんでも自分で作ってしまおう、という会です。田舎や自然が多いところで暮らしている人々にとっては、自分で作り、自分で工夫するということなんて当たり前。ですが、これまで都会暮らしの人がこれからそんな環境で生きるためには、まずは今の便利快適なぬるま湯から抜け出すためのリハビリが必要になります。
やがていつか自然の中で自立して生きることを目指す「自然暮らしの会」では、住まいとしてのログハウスをあちこちに、もう何棟も造ってきました。そして自給自足の畑、遊ぶためのカヌーや釣り道具、ナイフ、なども。どうしても自分では作れないものもありますが、その場合、それが自分の自然暮らしに本当に必要なものなのか、を吟味します。必要を水増しして、無いよりはあった方がいい、とついつい持ち過ぎてしまうのが、現代社会の落とし穴ですね。
マスメディアのコマーシャルや新製品情報に翻弄されて、あれもこれもと持ちたくなるように、巷に「もっともっと病」のウイルスがばら撒かれているような気がします。どうしても作れないものがあったら、それをお金で買ってしまう前に、それを必要としない生活に切り替える。もっとも自分で作りにくいもの、それは間違いなくお金ですね。ですからお金を必要としない生活に切り替えると、何でも手作りの「自然暮らし」になるのです。
例えば自分の家を自分で作るのは、大変だけれど、すごく楽しいチャレンジです。そんな楽しいことを他人にやらせて、しかもお金まで払って作ってもらうなんて、二重の損です。仮に一千万円の家を自分で建てたとすると、大工さんに一千万円払わなくて済むし、一千万円の家を手に入れたことにもなるから2千万円の得。すごく楽しいことをして2千万円も稼ぐことができるなんて、素晴らしいじゃないですか。
大抵の人は、自分で家を建てるなんて無理、できっこないと最初からあきらめてしまいます。そんな才能も時間も無いと。でもこれは才能じゃなく本能だと思うのです。生きものとして自分の巣を作る先天的な能力は誰もが持っているはずですよね。
私は思い立ってまず、チェーンソーとスクライバーという道具を買いました。で、山に入って杉の木を伐採し、夜はテントの中でログハウスの本を読んでいました。どうしても理屈がわからないところもあったのですが、とりあえずやってみて、熱が出るほど考えて、ようやく丸太の組み方がわかった時は、体が震えるくらい嬉しかったです。四角く丸太を組み上げた壁に囲われた床の上に、体力使い切って寝転がり、見上げた夜空の感動を今も忘れません。この四角のスペースはあの宇宙の果てまでずっと、自分で作った自分のもの、という充実感に包まれていました。自分の人生に自分で責任を持ち、自分で作り上げてゆくことが、自ら然る、自然暮らしなのだと実感することができたのです。
清水国明しみずくにあき
タレント
「あのねのね」で一世を風靡。芸能界きってのアウトドア派、スローライフ実践者としても知られ、子ども達の生きる力を育むための自然体験イベント等を積極的に実施している。また自然と共に生きる自身の経験から、シ…
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