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2014年10月24日

学校で教えたい、じょうずなネット利用のための力3

 このところ、学校の先生方(生徒指導担当者や教職員組合など)からの講演依頼が多くなりました。そのほとんどが、「生徒のネット利用に困っているので、対処法を教えてほしい」といったご要望です。

 実は、子どものネット利用に関する問題を、学校だけで解決することはむずかしいと言わざるを得ません。そこで私は、次の3点のご提案をしています。

 まずは「保護者への対応」です。要は家庭で行うネット対策を学校から情報発信するのです。具体的には「家庭の状況に応じたルール作り」、「トラブルが起きたときの相談先を知っておく」、そして「いざとなったら利用料金の支払いをやめる」です。
 言うまでもなく子どものネット利用料金は保護者が支払っています。何かトラブルが起きた際には、「親の責任」として料金支払いをやめるよう、ぜひ保護者の方に伝えてください。
(詳しくはこちらでも)

 二つ目は「児童生徒への対応」です。今、ネット上でどんな問題が起きているか、被害に遭わないためにどんなことに気をつければいいのか、具体的に指導してください。
 たとえばLINEで誹謗中傷を受けたときには、スマホの画面を写真に撮って証拠保存しておくなど、「実例を挙げてトラブル対応を学ぶ」ことを実践してみてください。

 三つ目は「学校の対応」です。できれば専任で相談に乗る先生を確保しましょう。つまり、「この学校では○○先生がネット関連の相談窓口です」と担当者を決めるのです。

 さらに、その先生に相談するとどうなるのか、対応のプロセスをチャートのような形で示します。たとえば、次のようなチャートがあると、子どもには安心でしょう。

1.○○先生に気軽に相談してください。メールでも受けつけます。
  ⇒(メールのほうが相談しやすい場合もある)
2.○○先生が詳しい話を聞き取ります。秘密は必ず守ります。
  ⇒(秘密が守られると提示することが大切)
3.保護者と情報共有する場合は、必ず事前に相談してから行います。
  ⇒(勝手に親に連絡しないと伝える)
4.聞き取った話をもとに、どんな対応を取ればいいか、○○警察や○○サイバー犯罪対策課、○○消費者相談センターなどと連携していきます。
  ⇒(どんな対策を取るのか、具体的に提示したほうがいい)

――そこまでやる必要があるのか、と思われるかもしれませんが、ネット社会=情報化社会です。よりわかりやすい情報伝達、ここがとても重要なのです。

 たとえば、私たちが病気になって病院を探すときのことを考えてみましょう。ホームページに診療時間しか載っていない病院と、医師の写真やプロフィール、診察の流れや検査の説明、患者さんへのメッセージなどが載っている病院と、どちらが信頼できるでしょうか。

 情報化社会とは、より具体的な情報提供が求められる社会のことです。学校もこうした姿勢で、子どものネット利用対策を進めてほしいと思います。

石川結貴

石川結貴

石川結貴いしかわゆうき

ジャーナリスト

家族・教育問題、青少年のインターネット利用、児童虐待などをテーマに取材。豊富な取材実績と現場感覚をもとに、多数の話題作を発表している。 出版のみならず、専門家コメンテーターとしてのテレビ出演、全国各…

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