ある地方での講演会のあと、主催された中学校PTAの保護者の方と懇談する機会がありました。その日のテーマは「子どものネットトラブル」です。
保護者の方が「子どもが何歳になったらスマホを持たせてもいいとお考えですか?」と私に尋ねました。
「個々のご家庭の事情があるので一概には言えませんが、高校入学を機に持たせるのがいいと思います。昔は高校入学のお祝いにと腕時計を買ってもらったりしましたね。かつての腕時計を、今のスマホと考えたらいかがでしょうか」
そうお答えすると、「なるほど。昔腕時計、今スマホですか」と、みなさん納得された表情でした。
高校生になると通学の行動範囲も広くなります。部活動、進学塾通い、アルバイト、ボランティアなど活動も多彩になるので、やはりスマホがあったほうが便利でしょう。
また、高校生くらいの年齢になると社会性が増し、自己責任の感覚が身についてきます。この社会性と自己責任は、ネットを利用する際にとても重要なものなのです。
ネット上では無料で音楽のダウンロードができたり、マンガが読めたり、映画を観たりすることができます。子どもだけでなく、おとなも「ネット動画」などを楽しむ機会があるでしょう。一方、これらの作品には基本的に「著作権」という権利が備わっています。
著作権者の許可を得た上で、つまり適法でネット上にある情報は個人で楽しむことが許されています。たとえば、テレビ局が「見逃しドラマ」を無料配信しているような場合には、自分で見て、楽しむことに問題ありません。
けれども、そのドラマを勝手にコピーして、友達に売ったらどうでしょうか。「たくさんの人に見てもらおう」という気持ちから、無断で自分のブログに載せたらどうでしょう。こうした行為は著作権侵害、つまり違法なことになるわけです。どこまでが適法で、どこからが違法かという判断をするためには、社会性や自己責任能力が必要です。また、そうした判断をするためには、学校や家庭での教育はもちろんのこと、利用者本人の自覚も大切です。
昔、私たちが子どもだったころ、高校入学を機に腕時計を買ってもらうことで「おとなに近づいた」、そんな気持ちになりました。
今の子どもにとって、スマホはそうした自覚を促すひとつのアイテムになるかもしれません。
新年から春先にかけては、進級や入学祝いなどで、一番スマホが売れる時期です。「実質ゼロ円だから」、「携帯電話会社が格安キャンペーンをやっているから」、そんな理由で購入するのではなく、子ども自身が責任感を持って利用できるような与え方をしてほしいと思います。
石川結貴いしかわゆうき
ジャーナリスト
家族・教育問題、青少年のインターネット利用、児童虐待などをテーマに取材。豊富な取材実績と現場感覚をもとに、多数の話題作を発表している。 出版のみならず、専門家コメンテーターとしてのテレビ出演、全国各…
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