春の進学、進級シーズンを迎えました。以前のコラムでもふれましたが、今は1年の中で一番スマホが売れる時期です。携帯電話各社もキャンペーンの真っ最中、「学割」や「家族セット割」などお得なプランがたくさん用意されています。
「安い」というのは確かに魅力。ただし、子ども専用のスマホを購入する場合には、「安いから買う」ことはお勧めしません。購入にあたって、「なぜ今、スマホが必要なのか(ほしいのか)?」を親子で一緒に考えることが大切です。その際、紙に書き出すというアナログな方法で親子の意見交換をしてみましょう。
まずは子ども側です。「僕(私)がスマホをほしい理由」を紙に書き出すよう促します。「友達とLINEがやりたいから」、「インターネットで調べ物をしたい」、「地図や辞書のアプリが使えるので便利」、こんなふうに子ども自身の理由が出てきます。
一方、親の側は「スマホを持たせる上で心配なこと」を書き出します。「ゲームばかりやって勉強をしなくなるのでは?」、「LINEで仲間はずれにされるかも」、「ネットで知らない人にだまされたらどうしよう」などです。
お互いに書き出した内容を見てみましょう。すると、子どもが挙げた理由はメリット、親のほうはデメリットとなっています。元々の書き出し項目が違うので当然とも言えますが、こうした正負の両面について考えるための「紙」なのです。
子どもはスマホを持つとき、良い面ばかりを見てしまいます。便利、快適、楽しい、簡単、まるで宝箱を手にするような心境になりがちです。実際、スマホはとても便利な機器ですが、だからこそ親の不安や心配=悪い面をしっかりと伝えておく必要があります。
たとえば「ネットで知らない人にだまされる」という項目なら、そうならないために何に気をつければいいか、どんな利用ルールが必要か、具体的に意見を出し合います。
子どもが自覚を持ってスマホを使うためには、正負の両面を自分自身で考えることが不可欠です。紙に書き出すという作業をすることで、そうした自覚を促しやすくなります。
最後に、「利用料」の金額についても紙に書き出しましょう。ガラケー(従来型の携帯電話)とスマホの毎月の料金の差額、携帯電話会社やネットのプロパイダー業者に支払っている通信料の総額などを書きます。
一家の合計金額だと軽く数万円規模になります。これだけのおカネが家計から出ている、そうした自覚を家族全員で共有することが大切です。
石川結貴いしかわゆうき
ジャーナリスト
家族・教育問題、青少年のインターネット利用、児童虐待などをテーマに取材。豊富な取材実績と現場感覚をもとに、多数の話題作を発表している。 出版のみならず、専門家コメンテーターとしてのテレビ出演、全国各…
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