先日、小中学校の先生方を対象にした講演会の冒頭で、「ドローン少年」の話をしました。少年は15歳、小型無人機のドローンを飛ばし、その様子を動画撮影、ネットで配信していました。祭事などの業務を妨害した罪で逮捕されましたが、この事件には今のネット状況を象徴するようないくつかのポイントがあります。
まずは、15歳の少年が今年3月までは中学生だったこと。次に、みずからを「配信業」と名乗っていたこと。さらに、中学卒業後、進学も就職もしなかったのに、「収入」を得ていたことです。
今、中学生や高校生の間では、動画撮影が流行しています。スマホのカメラ機能でビデオを撮影するのですが、いつでもどこでも、そしてなんでも撮れてしまいます。
たとえば友達とふざけている様子を撮影して、それをインターネットの動画投稿サイトに送るとしましょう。動画はネットを通じて「配信」され、多数の人の目にふれます。
動画を見た人からは、「おもしろい」、「ウケる」、「ワロタ(笑った)」などとコメントが寄せられ、中には「もっと過激なものが見たい」といったコメントも書き込まれます。
こうしたコメントを受けて、より過激な画像を撮り、また投稿。何度かつづけるうちに、ますます閲覧者やコメントが増えていきます。
一部の閲覧者は、「動画を見せてもらったお礼」や「過激な画像を撮る人への激励」などという名目で、「ポイントのプレゼント」をする場合があります。
ここで言うポイントとは、インターネット上のショッピングサイトなどで使用できる、いわば商品券のようなものです。たとえば1000ポイントがあったら、1000円分の買い物ができるといった仕組になっています。
先のドローン少年は、こうした仕組みを利用してポイントを受け取り、それを商品や現金に交換して「収入」を得ていました。むろん、こうした仕組みはドローン少年に限ったものではなく、どんな子どもでも「やろうと思えばできる」のです。
実際、中学生や高校生のみならず、小学生でもポイントを得てネットショッピングをしたり、現金に換金したりしています。前述したように仕組みがあるのですから、あとは「やるか、やらないか」ということになってきます。
私の講演を聴講された先生方は大変驚かれ、「知らなかった」、「すごく参考になった」という声が多く上がりました。
喜んでいただけたのはうれしいですが、ここで止まらないでください。短い講演時間の中でお話しできるのは、残念ながら現状の一部に過ぎません。
日頃、ニュースなどで目にする言葉や状況を「知らない」まま済ませず、ぜひご自身で調べることをお勧めします。もちろん、調べる際にはインターネットが役立ちます。
子どものことがわからない、今のネット状況を知らない、そう嘆く前に、ニュースや講演で得た知識をさらに深めていくことが大切なのです。
石川結貴いしかわゆうき
ジャーナリスト
家族・教育問題、青少年のインターネット利用、児童虐待などをテーマに取材。豊富な取材実績と現場感覚をもとに、多数の話題作を発表している。 出版のみならず、専門家コメンテーターとしてのテレビ出演、全国各…
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