修学旅行シーズンのせいか、首都圏の駅や商業施設で中高生の集団を目にすることが増えています。引率の先生が「整列~」と声掛けをする横で、スマホを手に互いの姿を撮りあっているグループもいます。
楽しい思い出を残すのはいいのですが、こうした写真をネットに投稿するときには注意が必要です。スマホで撮影した画像には、いつ、どこで撮られたものなのかという情報が付帯しているからです。これらを「Exif(イグジフ)情報」と言います。
スマホには「時計」や「位置情報サービス(GPS)」が搭載されています。たとえば「降雨予報」なら、今いる場所(現在地)に、これから降る雨の量が時間の経過とともに詳しく表示されます。
私たちは便利な機能を当然のように受け止めがちですが、見方を変えると、自分の情報が自動的に記録されていることになります。スマホで撮影した画像(写真や動画)も同様で、付帯するExif情報には、次のようなものが含まれています。
・撮影日時
・撮影機器のメーカー名(製造・販売元)
・撮影機器のモデル名(カメラ付き携帯電話・スマートフォンの機種名など)
・フラッシュの有無や焦点の距離など撮影時の設定状態
・GPS情報(撮影場所)
いかがでしょうか。スマホを使って何気なく投稿したり、インターネット上で閲覧している画像には、「いつ、どこで、どんなカメラや設定で撮影された写真、動画なのか」という情報が入っているのです。
たとえば自宅でくつろぐ様子を自撮りし、個人のブログで公開したとします。本名や住所は一切書かず、自分の顔と部屋の様子しか写っていない写真です。通常の状態で写真を見た人には、「ただのプライベート写真」にしか見えないでしょう。ところが、特殊な方法を使うことで先のExif情報が漏れてしまいます(ここでは犯罪防止のため具体的な方法を紹介しません)。
すると、Exif情報をもとに、写真が撮影された場所=住所が知られてしまいます。仮に写真の説明文として「リカちゃんのまったりモード」などと自分の名前の一部でもつけていれば、「〇〇に住んでいるリカ」という個人情報が特定されるのです。
最近では、いわゆる「ウケ狙い」で過激な写真を投稿する子どもも増えています。下着姿や変顔、飲酒や喫煙姿、ネット上にはそんな写真がたくさん掲載されています。写真の一部を加工して顔がわからないようにしている場合が多いですが、いくら顔を隠してもExif情報から個人が特定される可能性があるのです。
ちなみに2016年6月現在、LINE、ツイッター、Facebook、インスタグラムなどの人気SNSでは、写真投稿時にExif情報が自動的に削除されるシステムになっています。「削除されるなら安心だ」と考えがちですが、投稿した写真そのものに個人を特定できる要素が入っていることも少なくありません。
たとえば学校の制服姿で撮った写真の背景に、道路標識や住所表示、特徴のある建物などが写っている場合です。「国道〇号線の〇〇陸橋がある交差点」、これだけで撮影場所が特定できる上、「制服」から高校名もわかってしまいます。投稿された写真が過激な「おふざけ画像」のような場合、インターネット上で「犯人探し」が行われたり、誹謗中傷が拡散していくこともあります。
一度拡散した個人情報は、完全に消すことが困難です。将来の進学や就職時に思わぬ形で発覚し、人生を棒に振るようなことも考えられます。
子どもは安易に自撮りをし、日常的に画像をネット投稿していますが、そこに潜む危険性を知っているでしょうか。また、保護者や学校の先生方は正しい認識を持っているでしょうか。「知らなかった」、「怖いね」で済ませず、親子で情報収集し、対策や防止策について話し合ってほしいと思います。
石川結貴いしかわゆうき
ジャーナリスト
家族・教育問題、青少年のインターネット利用、児童虐待などをテーマに取材。豊富な取材実績と現場感覚をもとに、多数の話題作を発表している。 出版のみならず、専門家コメンテーターとしてのテレビ出演、全国各…
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