啓蟄も過ぎ、今年も美しい桜の季節が巡ってきました。
毎年、人々はその桜の華やかさ、美しさ、香しさに心躍るばかりですが、忘れてはならないことは、その美しさをつくるまでの弛まぬ努力であり、私たちはそれに気づかなければならないように思います。
夏の暑さ、冬の厳しい風雪に耐えながら自分の咲くべき時を忘れることなくその日まで耐え忍んだ姿があったからこそ、人々を感動させる美しさがあることを。そして、花が咲き終わった後も人に関心を寄せられなくとも桜の木は、また次の春を目指して修練を重ねていることを忘れてはならないように思います。
3月は、一歩前へ進むための最後の準備の月。一歩前へ進めた人、またもう少し努力が必要な人それぞれだと思いますが、進んだ人も進めなかった人もそれぞれが必ず咲かせていただける時があることを信じて前を向いて歩みを進めて欲しいものです。
人は、自分が経験した喜びや、悲しみそして痛みが多ければ多いほど、人に対する思いやりや気遣いが豊かになります。人間は愚かなもので、自分が苦しい思いや、痛い思いをして初めて人の痛みが解ることが多くあります。痛みを経験せずとも人の思いをくんであげられることができればこんなに良いことはありませんが、やはり人生は修行のようで、色々経験して人は一人の人間として成長していくものなのでしょう。
旅立ちの時。
様々な人たちと巡り会い、成長する季節がまもなくやってきます。「人は人、我は我なり、されど仲良き…」これは、武者小路実篤のことばですが、まだまだ生きづらい世の中だからこそ、人それぞれが置かれている立場を理解し、尊重しあって共に支え合いながら歩みを進めて行きたいものです。
どんな時も、毎年春になれば花を咲かせる桜の逞しさを見習って。
この世の中に無駄なことは何一つありません。気づきを持ちそこから学びへと繋げる努力をすれば人は成長します。今、改めて”徳は才に勝る”と言うことばを思い出します。”あなたに会えて良かった”と言ったもらえる人でありたいものです。
ご卒業、おめでとう!
そして、ご入学おめでとう!
春日美奈子かすがみなこ
フリージャーナリスト
國學院大學大学院法律研究科法律学専攻修士課程修了。報道畑25年の経験を生かし、少年院や教護院(現・児童自立支援施設)での実習を通し、常に現場の”今”や”生の声”を大切にして、少年問題に取り組んでいる。
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