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コラム 教育

2013年08月20日

日本語の話し方

 連日暑い日々が続いていますが、それでも人気の場所には夏休みとあって暑さに関係なく多くの人が集まり賑やかな光景が見られます。しかし、昔と比べ少し変わったことがあるように思えてなりません。
 それは、会話を通じて人とくつろぐという姿が少なくなったこと、そして日本語の乱れです。

 高度経済成長をへて、日本は豊かな社会になるとともに、地域社会の構造が変化し、人と人との関係も薄くなり、社会関係が希薄になってきました。
 電車や飛行機などに乗っても、知らない人と隣り合わせになった場合に、到着するまで一言も口をきかないことはあたりまえのようになっています。
 昔の人達は、どんな場所でも何気ない一言のなげかけでコミュニケーションをはかることに長けており、楽しい時間を相手に配慮しながらも共有する術を持っていたように思います。それは、”会話を通じて人とくつろぐ”ということでもあります。

 見知らぬ者どうしであっても、そこに小さな子どもが介在すれば、持ち合わせの飴やチョコレートをおしみなく”どうぞ”と子どもに手渡す何気ない優しさと親しみがあり、そこに見えない心のコミュニケーションがありました。幼いながらもその時の優しさとお菓子を頂いた嬉しさは、成長しても子どもの頃の優しい思い出として残り、やがて大人になった時に、自分もまた同じ行為をするようになるものです。
 人の優しい姿や心を通して、子どもが心を育むことも教育の一つでもあります。

 しかし今の社会では、”知らない人から物をもらってはいけません”が重視される世の中となり人と人との接点が、おのずと少なくなってきています。これは、人間にとって大切な、人と一緒にくつろぐこと、安心してやすらげることが少なくなったことに繋がり、大人だけでなく子どもたちが人を信頼して、安心して育っていく環境が失われているということになります。そのことの重大さを改めて考えていく必要があるように思えてなりません。

 人と人とのコミュニケーション不足は、正しい話し方ができなくなることにも繋がります。日本は、小さい頃から読み書きは教わっても、正しい日本語を話す教育がなされてきませんでした。
 電車の中での親子の会話を耳にしても、親を親とも思わないような砕けた言葉での会話が続いていることがよくあります。”ちょうーむかつく”、”まじー”、”そう言ってんじやん”思わず耳をふさぎたくなります。これはこれでコミュニケーションの一つなのでしょうが、正しい日本語ではありません。世の中には様々な環境におかれた人達がいます。それぞれの場でコミュニケーションをとっていくためには、複数の言語を持つことが必要となり、時と場所によっては砕けた言葉も必要になるかもしれませんが、やはりその前提にあるのは、きちんとした日本語を話せることです。正しい日本語を知っていてそのうえで砕けた表現をすることができてもその逆は難しいものです。

 親や大人の話し方から子どもは話し方を学びます。敬語や温もりのある優しさのある言葉を今こそ子どもたちに伝えてあげてください。言葉は、自分の思いを他者に伝えるうえでも、自分を守る武器にもなります。正しい日本語で、大人になっても自分の世界を広げていかれるように、子どもとの会話を意識して楽しんでみてはいかがでしょうか。言葉は、人にとって宝でもあります。

春日美奈子

春日美奈子

春日美奈子かすがみなこ

フリージャーナリスト

國學院大學大学院法律研究科法律学専攻修士課程修了。報道畑25年の経験を生かし、少年院や教護院(現・児童自立支援施設)での実習を通し、常に現場の”今”や”生の声”を大切にして、少年問題に取り組んでいる。

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