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コラム 教育

2018年08月24日

「子どものうちなら直る」はウソ。苦手なことには目をつむってあげることが大切

子どもができないことについては、合理的な工夫をして、やりやすくしてあげることが大切です。たとえば歯を磨くのを忘れるなら、お茶碗や箸を出すときに、ついでに歯ブラシも出しておくようにします。やるべきことを忘れてしまうなら、お支度ボードでタスクの見える化をします。時間にルーズなら模擬時計をつくって時間を見える化します。

しかし、いくら工夫しても成果が出ないこともたくさんあると思います。あるいは、工夫してあげたときはできるけど、そうでないときはできないなどということもよく起こります。でも、これは仕方がないことなのです。

というのも、大人も子どもも、自分の苦手なことをできるようにするのはそう簡単なことではないからです。これを読んでいるあなた自身も、自分を変えたいのに変えられない部分というのはあるはずです。

「子どものうちの方が直しやすい」という思い込みを持っている人も多いと思いますが、そんなことは決してないのです。これは、世界中の大人たちが共通に持っている思い込みであり集団的勘違いなのです。

苦手なことを直すのには、次の3つが必要です。

  • 1.「絶対に直したい」という強烈な内面的モチベーション
  • 2.それに伴う意志力
  • 3.問題点や原因を見極めて工夫や改善をする能力

これらは、子どもにはないものばかりです。子どもよりも、むしろ大人のほうが持ち合わせていることが多いのです。ですから、大人になってからのほうが苦手なことを直せる可能性はあるのです。私自身も、子どものころからずっと片づけや整理整頓が苦手でした。成人して仕事に就いてから、「こんなことでは困る」と強烈に思う出来事があって、それで工夫や改善をして以前より少しはよくなってきたのです。

いろいろ工夫しても成果が出ないこともありますし、ましてや子どもの苦手を直すところまではいかないことも多いのです。そういう場合は目をつむってあげてください。それでないと、ずっと叱り続けることになります。そうなると子どもは自己否定感にとらわれるようになりますし、親の愛情も疑うようになってしまいます。

ですから、工夫自体を楽しみながら気長にやってあげてください。「人事を尽くして天命を待つ」という気持ちが大切です。大人になれば大抵のことは何とかなるものです。

親野智可等

親野智可等

親野智可等おやのちから

教育評論家

教育評論家。本名、杉山桂一。長年の教師経験をもとに、子育て、しつけ、親子関係、勉強法、学力向上、家庭教育について具体的に提案。『子育て365日』『反抗期まるごと解決BOOK』などベストセラー多数。人気…

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