講演の後の質疑応答で、勉強とご褒美の関係について聞かれることがあります。勉強したら百円とか、○○を買ってやるなど、お金や物のご褒美で釣って勉強させるという親はけっこういます。
そして、やっている親たちは、みんな心の隅で「本当にこのやり方でいいのか?」という疑問を持っています。疑問というより、もっとはっきりいえば、不安といったほうがいいかもしれません。でも、疑問を持ちながら、そして不安を感じながらも、やめられずにいるというケースが多いようです。
実際この方法には即効性があり、子どもはご褒美が欲しいのでがんばります。それで、親もついやってしまいがちなのです。でも、効き目がある反面で大きい弊害もあります。
というのも、ご褒美は必ずエスカレートするからです。ご褒美がないとやらないとか、もっと大きな金額でないとやらないなどということになりやすいのです。
でも、実は弊害のないご褒美もあります。それは、日頃から楽しみにしていることを順番を変えてご褒美化したものです。
例えば、勉強したらゲームをする、遊ぶ、漫画を読む、録りためた動画を見る、おやつを食べるなどです。
これらは新たに用意したご褒美ではなく、どうせ放っておいても毎日やっていることです。それを勉強の後にもってくることでご褒美にするわけです。これには弊害がないので、うまく活用して、やる気と集中力のアップにつなげてください。
親野智可等おやのちから
教育評論家
教育評論家。本名、杉山桂一。長年の教師経験をもとに、子育て、しつけ、親子関係、勉強法、学力向上、家庭教育について具体的に提案。『子育て365日』『反抗期まるごと解決BOOK』などベストセラー多数。人気…