あるイベント会場で見た光景です。その会場では、子どものための実験教室がおこなわれていました。大人のスタッフが実験のやり方を説明して、子どもたちに「じゃあ、始めていいですよ」と言いました。すると、ある男の子が後ろで見ていたお母さんのところに行って、「何すればいいの?」と聞きました。お母さんは「しっかり話を聞いてないからでしょ!話を聞けない人はやらなくていい」と叱りました。
こういう親を見ると本当に子どもがかわいそうになります。せっかくの楽しいひとときが台無しです。こんなことでキレる必要はまったくありません。こういうときは、「やる気満々だね。○○を□□するんだよ。あなたなら上手にできるよ。がんばってね」と言ってあげて欲しいと思います。そうすれば、子どもは大いに張り切ってがんばります。
この子のように話を聞いていないはけっこういます。自分の考え事や空想にふけりがちな子はこういう傾向があります。
私の経験ですと、こういう子の中に、感性が豊かな子、芸術的な資質がある子、想像力と創造力が豊かな子、オリジナリティのある子、アイデア豊かな子、癒し系の子、おっとりして穏やかな子、友達に優しい子がたくさんいます。もちろん、そういう子がしっかり話も聞ければ一番いいわけですが、そうそう何でもかんでも望むこと自体が間違いです。
大人から見てほめやすいしっかりしたよい子でなくても、まったくだいじょうぶです。その子のよい面を認めてプラス思考で育てていってください。そのためには、苦手な面にはばっちり目をつむって寛大に接することが必要です。それができずに、苦手な面を注目ポイントにして、そこばかりつついている親がたくさんいます。これだと、その子のよい面が埋もれてしまいます。
親野智可等おやのちから
教育評論家
教育評論家。本名、杉山桂一。長年の教師経験をもとに、子育て、しつけ、親子関係、勉強法、学力向上、家庭教育について具体的に提案。『子育て365日』『反抗期まるごと解決BOOK』などベストセラー多数。人気…
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