親や先生がひたすら大事にするべきなのは、子どもの自己肯定感を育てながら長い目で待つということです。子どもの人生は長いので、今あまりぱっとしていなくても、この先いくらでも本人のやる気のスイッチが入る機会がやってきます。そのとき、自己肯定感がある人なら、「やってみたい。ぼくならできるはずだ。やるぞ」となって、実際にスイッチが入ります。
きっかけはいろいろありますが、例えば何か失敗して「このままでは将来もっと困る。がんばらなくては」と決意したり、あるいは「これをやりたい」という夢を抱いて奮い立ったりするときです。または、好きな人ができて「いいところを見せたい」と思ったり、ライバルが出現して「私も負けてられない」と思ったりするかもしれません。あるいは、すてきな先輩に刺激を受けるかも知れません。あるいは、先生に褒められて「ようし、がんばるぞ」と思ったり、伝記を読んで「すごいなあ。ぼくもやるぞ」と思ったりするかもしれません。
このように、やる気のスイッチが入りそうな機会はいろいろとあるのですが、きっかけがあったとき実際にスイッチが入る人と入らない人がいるのです。それは自己肯定感がない人です。つまり、「やってみたい。でも、ダメだろうな、ぼくなんか」となってしまって、結局スイッチが入らないのです。
ですから、目の前の子どもができないことや苦手なことをいつまでもつついているのではなく、そういう事には目をつむって、ほめられる部分を見つけてほめることを増やすことが大事です。そうすれば自己肯定感が持てるようになり、いずれは自分でスイッチを押せるようになります。
親野智可等おやのちから
教育評論家
教育評論家。本名、杉山桂一。長年の教師経験をもとに、子育て、しつけ、親子関係、勉強法、学力向上、家庭教育について具体的に提案。『子育て365日』『反抗期まるごと解決BOOK』などベストセラー多数。人気…
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