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コラム 教育

2010年04月23日

日常的に叱ることには大きな弊害が2つある(1)

 「最近は子どもを叱らない親が多い」こういう話を聞いたことがあると思います。
テレビのコメンテーターは、みんなこう言います。でも、事実はその逆です。実際は、子どもを叱りすぎる親が多くて、子どもをほめる親が少ないのです。

 私が教えた子でも、朝から晩まで叱られっぱなしの子が何人もいました。親から、「また○○してない」「○○しなきゃダメでしょ」「なんで○○しないの」「何度言われてもできないんだから」などと一日中言われ続けるのです。
 このような否定的かつ感情的な言い方で叱られ続けると、大きな弊害が2つあります。1つは自分に自信が持てなくなることであり、もう1つは叱る親に対して不信感を持つようになることです。

 もちろん、親は、物事や行動について言っているのであって「あなたはダメ」と人格そのものを否定しているつもりはありません。

 でも、いくら物事や行動についてでも、それが度重なれば結果は同じなのです。いくら物事や行動についてでも、「また○○してない」「○○しなきゃダメでしょ」などと否定的に言われ続けていれば、結論は「自分はダメだな」ということになってしまうのです。
 これは当たり前のことです。なぜなら、そう言われ続けているのは自分以外の何者でもないのですから。

 そして、弊害はこれだけではありません。否定的かつ感情的に叱られていると、子どもの中で親に対する不信感が育ってしまうのです。

 子どもも、頭では「お母さんはぼくのために叱ってくれているんだ」と考えます。そして、自分にそう言い聞かせようともします。
 でも、心の奥の無意識の中では、だんだんある疑いが生まれてきます。「もしかしたら、ぼくはあまり愛されていないのではないか?」という疑いです。

 こういう疑いは、本人も気づかないうちに抑えがたく生まれてきます。
 そして、これは、親と子の関係だけでなく先生と子どもの関係でも同じです。

親野智可等

親野智可等

親野智可等おやのちから

教育評論家

教育評論家。本名、杉山桂一。長年の教師経験をもとに、子育て、しつけ、親子関係、勉強法、学力向上、家庭教育について具体的に提案。『子育て365日』『反抗期まるごと解決BOOK』などベストセラー多数。人気…

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