ある時、親御さんから「授業で発表ができません。どうしたらいいでしょうか?」と質問されたことがありました。私は大略次のように答えました。
まず、対症療法としては、事前に家で少しでも予習しておくことです。そうすれば、自信がついて発表に結びつきやすくなります。そのために一番いいのは教科書にざっと目を通したり、声に出して読んだりしておくことです。親子で内容について話し合っておくと、さらに効果的です。
次に、土台の部分です。日頃から楽勉に心がけて知的好奇心を育てていると、勉強が好きになり授業への積極性が育ちます。遠回りのようですが、発表を増やすにも学力を上げるにも、実はこれが一番の近道なのです。さらに、日頃から「その子の好きなことやいいところをほめて伸ばす」という姿勢で生活することです。とにかく、自分に自信が持てるようにして自己有能感を育ててやることが大切です。自分に自身がない子が発表などできるはずがありませんから。
でも、正直な話、発表の多い少ないは性格に寄るところが大きいので、上記のような努力をしても効果はなかなか出ません。そういう場合は、親としては目をつむってやることも必要です。授業参観の後で「発表が少ない」と言って叱る親もいますが、これは逆効果です。子どもの苦手なことを直接つついてできるようにしようとしても、なかなか難しいのです。
それよりも、それには目をつむって、まずいいところをどんどん伸ばす方が遙かに効果的です。その方が、親子共々明るく楽しく過ごせますし、それがまたいい結果に結びつくのです。それに、子どもの頃発表ができるかどうかなどということは、大したことではありません。子どもの頃そうだったのに、成人してからは人前で話すのが楽しくてたまらないという人もたくさんいるのです。そういう人は、結局自分に自信があるからできるのです。
親野智可等おやのちから
教育評論家
教育評論家。本名、杉山桂一。長年の教師経験をもとに、子育て、しつけ、親子関係、勉強法、学力向上、家庭教育について具体的に提案。『子育て365日』『反抗期まるごと解決BOOK』などベストセラー多数。人気…
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