「先生、ワシントンって、アメリカのどの辺にあるんですか?」
タンザニアやジンバブエの位置が分からないというならまだしも、アメリカの首都の位置が示せない今どきの大学生たち。
私が講師をしている大学でもそうだが、(これじゃあ、日本は滅びるな)と情けなくなってしまう。
そこで、さっそく今晩から、お父さんにやってもらいたいことがある。何も大変なことは求めていない。食卓かリビングのどこかに、地球儀と地図帳を置いておくだけでいいのだ。
家族が集まる場所に地球儀や地図帳があれば、親子でテレビを見ながら、子どもの視野を世界に広げたり、都道府県の特色について、無理なく知識を増やしたりすることが可能になるからだ。
たとえばWBCやサッカーの中継を見ながら、対戦相手国の位置をすぐに確認してみる。首都はどこで人口はどれくらいの国なのか調べてみる。ベネズエラと対戦すればベネズエラの位置を、バーレーンと戦えばバーレーンの場所をチェックしてみるのだ。
あとは、お父さんが、「この国は石油が採れる」などと、知っている知識を偉そうに語っておけば、ひとまずはOKだ。
こうして考えると、世界各国から選手が集まる五輪や世界選手権などのテレビ中継は、親子で世界を学ぶビッグチャンスになるし、甲子園での高校野球中継だって、日本各地を詳しく知るきっかけになる。
うちの娘などは、父親の私が高校野球ファンで甲子園にも度々連れて行ったものだから、今や全国の強豪校と地域の特産品が自然と頭に入っている。あとはぐーたら娘なのに、興味を持たせるとすごいものだと親ながら感心する。
今の小中学生の教科書は、世界はおろか日本についてもじっくり学べるように作られていない。それだけに親子で国内外を知る機会は重要で、スポーツ中継に限らず、新聞やニュース番組などを見ながら、話題になっている国や地域は、地球儀や地図帳ですぐ確認する習慣をつけてみてはいかがだろうか。
清水克彦しみずかつひこ
びわこ成蹊スポーツ大学特任教授
文化放送入社後、政治・外信記者を経て米国留学。帰国後、ニュースキャスター、南海放送コメンテーター、報道ワイド番組チーフプロデューサー、解説委員などを務める。大妻女子大学や東京経営短期大学で非常勤講師を…
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