北海道の高校で2009年5月、1年生の男子生徒9人が校内のトイレで同級生男子の下半身を無理やり脱がせ、携帯電話で撮影していたことが明らかになった。その画像は、加害者のブログ上で公開されていた。9人は停学処分を受けた。
「性」を悪用するいじめは、子どもたちが携帯とネットを手に入れたことで、より過激さを増している。典型的なのが、相手のわいせつな画像を卑わいなコメントや名前、電話番号などの個人情報と共にネット上で「さらす」ケースだ。画像は、学校内のトイレや更衣室で簡単に隠し撮り出来る。
相手の顔写真をどこかのヌード写真と合成して出会い系サイトに貼ったり、顔とスカートの中の写真を並べて載せたり、と手が込んだ事例も少なくない。中2のA子の友人は、修学旅行中に同級生の女子の荷物から勝手に下着を取り出し、撮影。自分のプロフに掲載した。「○○ちゃんの下着」と、その女子を名指ししたコメント付きである。「誰の下着かがわかんないと、つまんないもんねえ」とA子は友人に「共感」する。
思春期の子どもにとって、自分の性的な写真がクラスメートや学校中の人の目に触れることは、何としても避けたい恥辱だ。このため、一度わいせつな画像を撮られてしまい「ネットにばらまくぞ」と脅されようものなら、被害者は加害者の言うことを何でも聞かざるを得ない心理状態に陥る。画像をネタに金品を要求されたり、女子の場合は援助交際を強要されて金を巻き上げられたりするケースもある。
別の手法として、わいせつな小説を創作するいじめも報告されている。子どもたちの間で流行する「ケータイ小説」が、性的ないじめに利用されているのだ。被害者を実名のまま主人公に仕立て、不特定多数とみだらな行為を繰り返すような小説を面白おかしく携帯で書く。それを学校内で回し読みしたり、ネット上の小説投稿サイトに掲載したりする。中3のA男は同級生にこうした小説を作られ、ショックのあまり休学した。
「性」は個人の最も私的な領域であるだけに、そこを侵されるダメージは計り知れない。だが、被害者は大人に助けを求めづらいのが実情だ。自分の裸の写真は、親にだって見られたくないもの。教師や警察に対しては、なおさらである。一人で悩みを抱えながら、眠れない夜を過ごす子どもたちがいる。
渡辺真由子わたなべまゆこ
メディアジャーナリスト
放送局報道記者として、いじめ自殺を取材したドキュメンタリー「少年調書」で日本民間放送連盟最優秀賞など受賞。その後カナダのメディア分析所に留学し、メディアリテラシーを研究。 ニュース記者としての長年の…
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