ではここで……、世界でもお洒落な装いをすることで知られるミラネーゼたちが、なぜ素敵に見えるのかについてお話したいと思います。
それは、前回まで説明した通りのことを、すべて自然に行っているからだけではありません。洋服を着こなす上で、基本の色使いをマスターしていることが大きく関係しています。例えば、ミラネーゼたちは全身のコーディネイトで3色以上使用しません。基本の色使いをマスターした上で、さらに色使いを制御しているのです。
では、ミラネーゼたちの基本色とは何でしょう?ネイビー、グレー、ブラウン、白、水色、ベージュ、黒、デニムの8色。一件、何の変哲もないオーソドックスな色ですが、この中の色であればどのように組み合わせても調和を生むことができます。
例えば、ネイビージャケットに、白いシャツ、グレーのパンツ。白いシャツに黒のスカート。これなら”きちんと”した印象に見えます。では逆に、水色のシャツに、ベージュのニット、デニム。グレーのニットに、白いシャツ、ベージュの細みのチノパンツ。これなら”こなれた”印象に見せることもできます。上記の基本的な色の組み合わせを、小さい頃から徹底的に学んでいるから、ミラネーゼは洋服を上手に着こなすことができるのです。
それから、大人になっても、必ずウィンドウショッピングをしていて、流行との付きあい方や自分に似合うもの探しの努力を怠っていないこともひとつです。季節の光に応じて、色の濃度を考えていることも大事なポイント。例えば、グレーひとつとっても、光が強い夏の時期はライトグレーを使い、光が弱い冬の時期はミディアムグレーにしたりと使い分けています。
当然、グレーに合わせるネイビーの色合いも季節によって使い分けます。明るめのグレーなら明るめのネイビーを。暗めのチャコールグレーなら暗めのダークネイビーといったように。デニムの色合いですら、季節によって濃度を変えたりするのです。季節に応じて、基本の色使いを使い分けることで、風景に馴染み、自然と美しく見えることを知っています。
服装の派手な色や奇抜な色で勝負するのではなく、ベーシックな色を選び、中身で勝負する。中身が知的でセクシーであれば、なおさらその要素が際立つことを知っているのです。
基本を知るという意味では、色のことだけに限ったことではありません。ミラネーゼたちは、基本のデザインに対して見識が高いことでも知られています。
ジャケット、ブラウス、コートなど、一過性の流行のものを選ばず、普遍的なベーシックなデザインを選んでいるからこそ、それぞれ調和の取れた美しい装いが出来るのです。
イタリアというと、ともするとトレンド発進地として知られていますが、実はものすごく保守的で、ベーシック愛用者が多いのも事実。ベーシックな色やデザインであれば何年も着ることができ、お金を節約することができる。そうして節約したお金で、美味しい食事をしたり、ヴァカンスを愉しんだり、装うこと以外の愉しみにお金を使っているのです。
モテるようになるためには、堅実な審美眼を持つことも重要なのです。
干場義雅ほしばよしまさ
ファッションディレクター
東京生まれ。スタイルクリニック代表取締役。三代続くテーラーの家に生まれる。「POPEYE」でモデル、BEAMSで販売を経験後、出版社へ。「MA-1」、「モノ・マガジン」、「エスクァイア日本版」などの編…
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