「病は気から」といわれます。病気になると、気が弱くなり、不安がつのります。場合によっては、精神面からの不安定さから病気を進行させてしまうこともあるでしょう。気をしっかりと持ってという精神論で病気に向かうよりも、病気になるというリスクを考えるなら、平常時から、これらの不安をできるだけ取り除く対応策を取っておくことが重要です。まず、病気やケガをし、治療に当たる時への対応。次いで、休職などに伴う所得の確保などがあります。
まず、知っておきたいのは、公的医療保険の給付内容です。
日本では病気やけがをすれば被保険者証を持って病院や診療所に行きますが、これがところ変わればすべての国民が同じように医療を受けることができるとはかぎりません。例えば、アメリカでは医療保険に入っていない者が数千万人いるといわれています。日本に住所があるものは、国民健康保険をはじめ健康保険などいずれかの公的医療保険に加入しなければなりません。
○一定以上は自己負担がかからない「高額療養費制度」
高度な医療や長期の治療が必要な病気になったとき、高額の医療費がかかることがあります。このような場合に、一部負担金として払った費用の一部を払い戻してもらうことができるしくみが「高額療養費制度」です。少なくとも月額に負担が一定額以上になることはないということは安心をうみます。
70歳未満の健康保険被保険者の場合には、3つの所得区分があり、一般の場合には8万100円に医療費の総額から26万7000円を控除した額の1%を足した額が自己負担上限額となります。たとえば、医療費総額が100万円かかったとして、3割負担なら30万円を窓口で支払います。しかし、自己負担上限額が、8万7430円となることから、支払った30万円のうち、8万7430円だけ負担すればよいので、21万2570円が戻ってくることになるわけです。
入院について自己負担限度額を超えた分は現物給付化され、窓口で支払う必要がなくなり、負担が軽減されます。
ただし、健康保険の範囲内に限られます。健康保険が効かない治療や投薬、差額ベッドなどは全額自己負担です。
○所得の確保「傷病手当金」
不安要因のひとつに所得の確保があります。病気やケガをすれば、働けなくなるので所得にダイレクトに関係してきます。そこで、知っておきたいのは健康保険の「傷病手当金」です。
傷病手当金は、健康保険の被保険者が病気やケガをして仕事を休み、給料がもらえないときには、その間の生活を保障するためのものです。国民健康保険(組合を除く)には、残念ながら、このしくみはありません。傷病手当金の支給額は、標準報酬日額(「健康保険標準報酬等級表」により算定。ほぼ日給に同じ)の約60%。ただし、会社を休んだその日からもられるのではなく、その病気やけがで休んだ期間が継続して3日間なければなりません。支給期間は最長1年6ヶ月です。ただし、出産手当金や厚生年金保険の障害年金または障害手当金をもらっている人は、重複してもらうことはできないことに注意しましょう。
高額療養費は、高額な医療を受けることができ、同時に経済的な負担を少なくしてくれるありがたい仕組みです。また、傷病手当金は長期の療養のときに役立つものです。万が一の場合には、これらの仕組みを活用したいものです。
井戸美枝いどみえ
井戸美枝事務所代表
神戸生まれ。関西大学社会学部卒業。 ファイナンシャルプランナー・社会保険労務士・キャリアカウンセラーとして、相談、講演、執筆活動を行う。複雑なお金にかかわる動きを、かんたんに読み解く経済エッセイストと…
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