東日本大震災から2週間以上が過ぎて、いよいよ各方面で「これから」に取り組む時期を迎えています。皆様のご協力のおかげで、私がプロデューサーとして関わるスタイリスト川田亜貴子さんのブランド「Akiko Kawada」も、ジュピターショップチャンネルで3月30日夜10:00に予定通り放送されることになり、関係者お見舞いも兼ねて打ち合わせに行って来ました。
「川田師匠のカジュアル塾」と題して企画構成を考えたブランドショーの第2回目は、メインアイテムにストレッチの効いた美脚ワークパンツ、インナーには温度調節も兼ねて単品でも重ね着でも使えるリブタンクトップと長袖の深Vカットソー。さらに、仕事やお出かけに羽織りものとして活躍する綿麻のモッズ風ブルゾンを準備。仕上げはオリジナルで染めたきれいな色味のタイダイのフリルストールでメンズ系になりがちなカジュアルに、明るい女性らしさもプラス出来るといったコーディネートを提案。カジュアル初心者の大人の女性にお手頃価格で、カジュアル上手になっていただきたいという思いを込めました。
ただ、実際このような状況の中、女性が春夏の洋服を本当に購入するだろうか?次々とイベントの中止が伝えられ、節電のためいつもより暗くなった街を見て、「そんな気分じゃない」と感じている人の方が多いのでは?商品には自信があっても、今、販売へ自信を持つ事が出来ませんでした。
打ち合わせのテーブルにはバイヤー、スタイリスト、スタッフと計5名の女性が集まりました。商品説明を経て実際に川田さんが商品コーディネートを始めてみると、始め15分位の緊張感が一気にほぐれて「ステキですね」「キャストの篠田さんに似合いそう」「オンエア中に売り切れて時間が持たないかも?」と地震当日の話や余震の事を心配していた女性達の顔が、コーディネートをつくるごとにいつの間にかほころんで、笑顔になっていくではありませんか。
この現場にいて「やっぱり復興は女性から」そう思わずにはいられませんでした。環境も経済もこれからどうなっていくのかまだまだ先の見えない今、それぞれの心は不安でいっぱいの時でも、女性が集まれば美しくありたいと思う気持ちが言葉となり、勇気となって、女性同士の間で伝播しながらエネルギーとなっていく。「絶対成功させましょう」別れ際にスタッフの女性とハグした瞬間、そのあたたかさに、現実を受け止めながらも未来に向かっていく女性ならではのパワーを感じました。
被災された方々の事を思うとファッションやビューティどころではない、神戸出身の私としては肌感覚でわかることですが、ファッションジャーナリストとして、また、ブランドプロデューサーとして、今、出来ることを考えると、日本の女性の元気を伝え、広げることで少しでも「気分が良くなる」お手伝いをしたい。
そして次のステップでは、出来るだけ早く、この日本の女性達のエネルギーから生まれる様々なMade In Japan をインターネットで海外に伝え、実際に輸出していくことを実践しようと思っています。
中村浩子なかむらひろこ
株式会社ヴィーナスプロジェクト 代表取締役社長
大学在学中より、光文社「JJ」において、ファッション・ライフスタイル担当の特派記者となる。その後、小学館「CanCam」を経て、光文社「VERY」、「姉VERY」、「STORY」の創刊記者を務める。オ…
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