「これだけ女性が列つくってるのは、スウィーツちゃうか?」
「何かわからんけど嫁はんに買うとこかな?」
新しくなったJR大阪駅に直結する梅田大丸の1F入口前で、おっちゃん達が立ち止まって会話している方向を見てみると、小さな買い物用バスケットを手にした女性が延々とレジ待ちしています。特設のレジコーナーを、JRとの連絡通路の入口前につくって「並びを見せる」演出も最大に効果を発揮している様子。
毛筆タッチの太字で書かれた「箸方化粧品」というロゴは、確かにおっちゃん達が、おまんじゅうやドラ焼きの高級版和菓子と間違ってもおかしくない親しみやすさ。私は遠くからでもひと目で、関西に住む母が3年位前から自慢げに使っていた石鹸のロゴだとわかりました。
「阪急宝塚線豊中駅近くにある皮フ科のつくった石鹸とクリームで、みんな使っているのよ」70才前後の女性の口コミは、アナログでも地元やコミュニティでの伝搬がすごく、今ではアイテムも増えて「人気化粧品」ブランドとしての地位を確立。ネット販売で買えるようになったとはいえ、今も百貨店催事で行列をつくるとは聞いていました。
早々、列に並ぶ女性達をファッションチェックしてみると、意外に若い女性もたくさん並んでいます。とはいえ、「箸方化粧品」に集まる女性達は、ぱっと見て全体的に色味がベージュ系。靴もブーティやブーツではなく、パンプスで、ヘア・メークも関西的な迫力盛りの押し出しはなく、上品で控えめ。ファッションチェックをする私が、つっこみどころがないということはまったく、「普通」なのです。さらに列も乱さず、順番をちゃんと待っている彼女達から「まじめ」さが伝わって来ました。
そういえば、私が東京からわざわざ送ってあげた高麗人参入りの高級韓国化粧品や、ヨーロッパマダム御用達のフランススパブランドのコスメなど、「もったいない」と言って大切にしまいこんで、知っているお医者さんがつくっている「箸方化粧品」を自分で買って「石鹸とクリームは\1000以下、化粧水と乳液は\1000でお手頃」と言って身近に置いていた母も相当「まじめ」。
母が欲しかった化粧品は、特別なものでなく日用品に近い存在として「普通」に「まじめ」で「親しみやすい」ものだったのです。今、そんな価値観を持つ20代、30代の女性も増えてきているのではないでしょうか。
中村浩子なかむらひろこ
株式会社ヴィーナスプロジェクト 代表取締役社長
大学在学中より、光文社「JJ」において、ファッション・ライフスタイル担当の特派記者となる。その後、小学館「CanCam」を経て、光文社「VERY」、「姉VERY」、「STORY」の創刊記者を務める。オ…
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