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2013年04月05日

トレンチコート満開の理由

 FBに桜の写真が増えてくると、それに比例するかのように女のコ達のトレンチスタイルも花盛り。青山一丁目のオフィスから、千駄ヶ谷経由代々木での打ち合わせの道のりで、予想通り沢山のトレンチ族に遭遇することになりました。

 横断歩道を渡ってくる女性達、オフィスビルから出てくる女性、あるいはカフェのテラス席に座っている女性の中に、光る人はいないかとマンウォッチングをしながら歩いていましたが、トレンチスタイルにおいてはその発見が難しく、皆、ベージュのハーフ丈をこなれた感じに着こなしているものの、やはり同じような印象に見えてしまいます。

 本来、制服がベースのアイテムなので、同じように見えて当然ですが、そこに必ず女心のこだわりがあるはず。そう思って取材して見ると、やはり本家の完成度でバーバリーを選んでいる人、シルエットよし、素材よしのバランスでセオリーを選んでいる人、あるいは、この作りでこの値段?のコスパでエストネーションオリジナルを、さらに、ワンシーズンに必ず1着買うという人はZARAもチェック。もちろんネットオークションも利用しているようです。

 コーディネートそのものは同じように見えても、コートそのものの選びにそれぞれの視点があることを確認しつつ、すっかりトレンチウォッチングにはまりながら打ち合わせ場所に到着すると、「おはようございます!」と40代前半の社長室長の女性が出張スタイルのまま飛び込んできました。

 パリ出張をはさんでいたということで約2ヶ月ぶりの再会でしたが、なんと、彼女が着ていたのは、鮮やかなオレンジのトレンチコート。いつも黒ベースの服を来ているからこそ、アクセントになるオレンジを投入したとのことでしたが、ウエストをギュッと絞ってワンピースのように着こなす姿が、ほれぼれするほどカッコ良く、周りの女性スタッフの注目も一身に集めていました。

 スプリングコートとしてこんなにトレンチが人気を集めているのは、ベージュ系なら幅広いジャンルの服に合わせやすく、インパクトカラーなら黒ベースの人向きと、いずれも毎日着回せるアイテムであること、朝、迷わず羽織っていけることで時間や無駄もなくなるし、考えなくていいのにオシャレに見えるのことが嬉しいという女性たちの声を聞きました。

 しかし、今シーズンのトレンチ花盛りの大きな理由は、1日で10℃くらい温度差があったり、強風を超えて暴風が吹く日まで出てきた気象。トレンチコートは、実用を超えて装備として外せないアイテムだったに違いありません。トレンドだけではなく、必ずそこに流行する理由があるのがライフスタイルファッション。この異常気象が続く限り、「桜は散ってもトレンチはしまわない」が当たり前となりそうです。

中村浩子

中村浩子

中村浩子なかむらひろこ

株式会社ヴィーナスプロジェクト 代表取締役社長

大学在学中より、光文社「JJ」において、ファッション・ライフスタイル担当の特派記者となる。その後、小学館「CanCam」を経て、光文社「VERY」、「姉VERY」、「STORY」の創刊記者を務める。オ…

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