春夏、秋冬と年に数回、ファッションブランドのカタログ撮影をしていますが、その度ごとにメインになる外国人モデルのオーディションを行います。先日も4ブランドの秋冬カタログのため、約10社のモデル事務所から100人ほどの外国人モデルたちがやってきました。
ご存知の方ならお分かりかと思いますが、エージェントごとにマネージャーが連れてくるモデルは、一人あたり約5分のプレゼンになります。審査する私たちにモデル本人が「LOOKBOOK」と呼ばれる、自分の作品集を手渡すやいなや、マネージャーはスイッチが入ったかのように、彼女の出身国、年令、来日回数、経験年数といった4つの基本情報とそのモデルのセールスポイントを話し始めます。
とにかく、一人あたりの時間が短いので、敏腕マネージャーは関西人も驚くほどの押し出しで「初来日ですが着くなりお仕事をいただいて、今日もA社のコマーシャルを終えて、明日は大阪でB社が決まっています」と、質問する前から有名どころの実績を語ってアピールしまくります。
また別のタイプのマネージャーは、こジャレたファッションにソフトな口調で「カンのいいコなので、クライアントの求める次の動きが読めますし、お洋服の見せ方も上手」と、流れのある、ちょっと自分自身にホロ酔い気分のプレゼン。
10社あれば、10人のマネージャーのカラーがあって、それぞれ真剣なのですが、このところ、印象に残るプレゼンをするマネージャーに共通しているのが、セールスポイントとして、あえて、プロポーションや整った顔立ちではなく、どれだけ他のコと違うかを強調するというテクニックを持っていることです。
例えば、「かなり広めの額は印象に残ります」「すき間のある歯並びでファニーな印象がつくれます」「低めの身長なので親しみやすさが出ます」などなど。かつては、モデルとしてのマイナスポイントとされてきたことは、もはや個性として魅力になっていることを再確認するとともに、人気モデルの新しい傾向もわかります。
そんな中、今回、一番印象的だったのは「左右で目の色が違うので、独特の世界観が出せるコです」というセールストーク。本人を実際に見て、まさに他のモデルでは表現出来ないオリジナルな魅力を感じました。もちろん、正統派の美人もブランドに必要ならば選びますが、時代とともに変化する「美」には、敏感でいたいと思います。
中村浩子なかむらひろこ
株式会社ヴィーナスプロジェクト 代表取締役社長
大学在学中より、光文社「JJ」において、ファッション・ライフスタイル担当の特派記者となる。その後、小学館「CanCam」を経て、光文社「VERY」、「姉VERY」、「STORY」の創刊記者を務める。オ…
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