「左の眉に迷いがありますね」
先日、伊勢丹のBOBBI BROWNでメークレッスンを受けた際、鏡の前に座るなり、メークアップアーティストから最初に言われたひと言が、とても衝撃的でした。
というのも、今まで何回か、メークレッスンを受けたことがありましたが、たいがい「メークお上手ですね」と、誉めていただき、気分のいいところで、新商品のお勧めがあるというのがセールスのパターンだったからです。それが、今回、メークにそこそこ自信がある私の「迷い」を一瞬で見抜いた彼の発言に「さすが、BOBBIのメークチームの中でも、国内No.1と言われるアーティストだけあるナ…」と、心を開かずにはいられなかったのです。
いつもメークする時に「左眉だけ、いまひとつ」と、納得出来ないまま、自分の気持ちをごまかしてきたことを素直に認め、一から描き方を教えてもらった結果、その場で美しい左眉のラインが描けるようになりました。プロというのは、得意なテクニックを披露するのではなく、隠れた「迷い」を瞬時に見抜いて、適格に指導出来る人のことをいうのだと、あらためて思いました。
同様に、先日、STORY誌で活躍するスタイリスト川田亜貴子さんと、コーディネートBOOK出版の打ち合わせをしていた際にも、「スタイリングに1点でも迷いを感じる人は、カッコよく見えないんですよ」という話が出ました。ファッションライターや、読者モデルの方々は、情報も豊富だし、20代の頃からオシャレをしてきたファッション上級者。それでも、パンツの裾のまくり方や、Tシャツの見せ方など、着こなしの仕上げにかかわる、ちょっとしたテクニックに迷いがある人が多いのだといいます。
「失礼ながら、迷ってるナ、と思うところを指摘して技を伝授すると、逆に凄く喜ばれるんですよ」「迷い」に届くプロの着こなしテクニックが川田師匠BOOKの重要な項目になることは、間違いありません。
ここでいう「迷い」とはファッションでもビューティーでも「悩み」というレベルはクリアしていて、そこそこ自信がある人たちを相手にしたときの消費のキーワードなのです。それを確信したのは、青山にあるネイルサロンArudyでのこと。
場所柄、ファッションやビューティーの仕事をしているお客様が多く、自分で塗りたいカラーやデザインを悩まず決められる方がほとんどですが、隣の席から聞こえてきたのは、「夏なので、白を塗りたいんだけど、グラデーションを活かしたマーブルにすべきか、1本ずつ、白を基調にしてデザイン替えするか迷うんだよね」という会話。
色を「悩む」というレベルではなく、トレンドの白までは選択できてているけれど、最後に「迷い」があるという状況のようでした。その時、店長のネームをつけたネイリストさんが「8月末まで、潔く、白1色塗りでいきましょう」と提案したのです。
私は、このサロンにもプロがいると思いました。お客様の「迷い」にたいして相手が納得するよう選択肢の中から選ばせるのではなく、たとえ利益が下がったとしても、いいと思うことを言い切ってしまうことがプロの仕事ではないでしょうか。
経験値の高いお客様ほど「迷い」を解消してくれる、信頼につながる嬉しいダメ出しを待っているものなのです。
中村浩子なかむらひろこ
株式会社ヴィーナスプロジェクト 代表取締役社長
大学在学中より、光文社「JJ」において、ファッション・ライフスタイル担当の特派記者となる。その後、小学館「CanCam」を経て、光文社「VERY」、「姉VERY」、「STORY」の創刊記者を務める。オ…
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