「お話し出来て本当に嬉しかったです」
いっぱいの笑顔でブティックの出口まで丁寧に見送ってくれたのは、サンローランの若い女性スタッフ。購入を検討中の新作バッグ「サック・ド・ジュール」を手にしながら、二人で大いに盛り上がって、ついに閉店ギリギリになってしまいました。
実用的な黒ベースの服が多い私は、上質でシンプルなブラックファッションにエッジの効いた小物使いがカッコイイ、女優のアンジェリーナ・ジョリーやモデルのケイト・モスのスナップをフォローしていますが、最近、その二人がオンにもオフにも愛用しているのが、この「サック・ド・ジュール」。テーラードジャケットを合わせる仕事スタイルも、ライダースジャッケットを羽織るカジュアルスタイルも間違い無くスマートにランクアップさせてくれる名品です。とはいうものの、30万円を越えるバッグを実際に購入するかどうかの最終ジャッジは、かなり慎重になります。
そんなとき、私の背中を押してくれるのはキャリアのある店長の接客よりも、娘世代のショップスタッフの本音の話です。それは、憧れのラグジュアリーブランドで働く彼女たちにとって、毎日眺める商品は、実際に欲しいと思うもので一杯。でも、いただいているお給料は限られているので、その範囲内で、本当にブランド価値のあるもの、あるいは、シーズン中に唯一手に入れられるもの。について毎日、真剣にシュミレーションしています。だからこそ、彼女たちの究極の選択を聞いてみる価値があると思っています。
「実は、少し高くなっても必ず手に入れたいと思っているのが、スタイルよく見えるラージサイズ」とか「新しいクリエイティブ・ディレクターのエディ・スリマンらしいデザインを活かしながら、きちんと感もモード感も叶えてくれるのは、やはりカーフの黒」などなど。
本来なら、お客様に「どんな用途で?」とか「ご予算は?」などと話しかけながら、相手の望むものを探して、購入をうながす彼女たちに、こちらが心を開いてインタビューしていくと、貴重な本音を聞くことが出来るのです。ただし、声をかけるのは、そのショップで生き生きと、一番輝いて見える女性でなければいけません。「あなたが今、一番愛用しているものは?」「あなたが次に欲しいと思っているものは?」など、ものについて尋ねながらも、ブランドを愛する気持ちや、憧れについて、相手の気持ちを巻き込むようにインタビューしていくことが、私の取材型お買い物術です。
取材されることは、いつも考えていることや、こだわっていること、大切にしていることを聞いてもらえる、気持ちいいひとときです。気持ちいいは楽しいにつながり、嬉しいに変わります。嬉しいと思う気持ちから伝えられる情報こそ信じられるのです。ついにサンローランでは、カジュアルに合わせやすい手頃なアイテムとして、「アクネのブーツは疲れず相性もいい」とか「インナーはドレープのきれいなヘルムート・ラングで探すこともあります」などなど、他ブランドとの裏ワザ的コーディネートまで聞くことができました。
輝きのある若いショップスタッフへのインタビューショッピングを通じて、課題の「サック・ド・ジュール」はラージサイズ、色はブラックで前向きに検討することに決定。ホリデーシーズンに向けて後悔の無いお買いものをしたい方は、このスタイル、一度、試してみてはいかがでしょう。
中村浩子なかむらひろこ
株式会社ヴィーナスプロジェクト 代表取締役社長
大学在学中より、光文社「JJ」において、ファッション・ライフスタイル担当の特派記者となる。その後、小学館「CanCam」を経て、光文社「VERY」、「姉VERY」、「STORY」の創刊記者を務める。オ…
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