女性だけの幸せワールド

　先日、神戸・芦屋のカリスマ読者モデルから生まれた、ファッションブランド「LiSA LiSA」のダウン＆ファー受注会に参加してきました。そこは「女心」マーケティングに欠かせない取材現場で、スケジュールを最優先して飛んで行く価値ありなのです。

　興味深いのは、「LiSA LiSA」は、カタログとHPの通販ブランドのため、本来は「モノ」中心にお客様が集まっているはずですが、実際は代表を務める貴田加野（きだかの）さんという「人」が中心。雑誌「VERY」では、タレントの三浦りさ子さんからも「私の憧れの女性」と紹介されるなど、30代、40代を中心とした「カノラー」と呼ばれる女性ファンが、貴田さんと「LiSA LiSA」を応援するという形でブランドが成立しているのです。ですので、受注会は貴田さんとファンが直接会えるオフ会のようなもの。ショッピングの場というよりも彼女達が心待ちにしているイベントなのです。

　朝10時に会場に到着すると、子供を学校に送ってそのまま一番乗りで来た常連のお客様が早くも3～4組。「貴田さんオススメのパンを買ってみたら美味しかった！」とか、「紹介していただいたよもぎエステが良かった！」とか、ファッションとは関係の無い話で盛り上がっています。皆、共通の話題で会話出来るのは、毎日貴田さんのブログをチェックしているからだとか…。さすが！「カノラー」2匹目に飼ったトイプードルの名前まで覚えていてくれるのですから、嬉しい限りです。

　そうこうしているうちに、新しく合流したお客様でショールーム兼会場が手狭になってくると、初めのグループが気を利かせて場所を譲るなど、まるで宝塚歌劇の「出待ち」のように人の流れもスムーズ。ファン同士が声を掛け合って楽しい時間を共に分かち合う様子は、女性同士ならではの幸せオーラに包まれた世界・・・。

　男性には想像し難いかもしれませんが、女性はこの幸せオーラに敏感で、”楽しい”と思う気持ちをエネルギーに変える能力を持っているのです。なので、女性から女性へ、”楽しい”が伝わると、熱気に近いパワーがどんどん生み出され、会場で感じる空気の濃さにつながっていくというわけです。

　最もそれを強く感じたのが、受注会最後の1時間でした。「ギリギリになってごめんなさい」と現れた女性は、毎シーズンいらしているお客様のようで、早速、貴田さんに近況報告を始めました。「今、私、失職中で…」なかなかヘビーな状況のよう、私がそっと席を外しバックヤードの方へ移動していると、5分も経たないうちに大きな笑い声が聞こえてきました。「やっぱり楽しくお買い物して、その分、次の受注会までには必ず仕事見つけます！」その女性のパワフルな発言に「さすが！」私も心の中で拍手です。イベントの熱気が最高潮に達している会場で、完全にエネルギーチャージした様子。男性には到底理解し難い、女性ならではの楽しいエネルギー連鎖の成せる技です。

　「嬉しい！嬉しい！」連呼型で楽しい気持ちを表現するのは、VERY創刊号の取材で会った時からの貴田さんの口癖でした。「LiSA LiSA」は、オシャレのセンスや着こなしの提案はもちろんですが、この嬉しい気持ち、幸せ気分に参加したい女性の心を掴んでいるから、セールをしなくても心待ちにされるブランドとして愛されているのだと思います。

　「成功お祈りしています」、「頑張ってください」のメッセージ付きのお花や、朝5時起きで焼いた手作りのバラのケーキが届くタカラヅカのような受注会。

　11月には、関東エリアのファンの声に応えて、東京公演（？）なる一週間だけの期間限定ショップもオープン。

　女性達だけの幸せオーラに包まれる世界、それを求める姿は女性にとって決して特殊なことではないのです。