今、私の周りのビューティジャーナリストやビューティ担当編集者達の熱い話題は、「皮フ科の女医さんが走っているらしい」というウワサ。これだけ聞くと、女医さん達も健康と美容の為にマラソンやスローランニングを始めたと思う方が多いかもしれませんが、彼女達が走り込んでいるのは道路ではなく、自分自身の細胞を預ける「CELL BANK」。最先端の美容医療に携わる皮フ科の女医さん達が、未来の自分のために駆け込んでいるところ。断然気になります。
思い立ったら即、行動。早々に「CELL BANK」を取材してみると、まず現在の健康な自分自身の肌細胞を生きた状態で抽出し、マイナス196℃のタイムカプセルで保存。たるみやシワなど、気になる肌の未来の治療に役立てる為に大切に保管され、必要になった時に取り出して、再生医療専門のRDクリニックの培養技術で増やした後、自分自身の肌細胞として注入。時を越えて、本来の若々しい肌を取り戻すという治療だということです。
ここ数年、外科的なフェイスリフトからボトックス、注入治療、レーザー、ケミカルピーリングなど、様々な方法が年齢不詳を目指す女性の心を捉えてきましたが、「CELL BANK」による肌の再生プログラムは、ドラマティックな変化を期待する美容外科とは異なり、極めて自然なエイジングケア、「変わらないね」という誉め言葉を望む女性たちがターゲット。その上、従来の美容外科や皮フ科で行われる治療効果を、より良く引き出すための基本(ベース)となる治療とも考えられることから、美容のプロである皮フ科の女医さんが自分のために、また言葉を選ばず言えば商売繁盛のために走るという訳です。
自分自身の肌細胞による治療法だからこそ、異物反応やアレルギーの可能性が限りなく低い。個人的にはこの点に一番魅かれますが、10年後も10年前の自分自身の肌細胞を注入できる肌のタイムマシンに乗ってみたいと思うロマンティックな気持ちも盛り上がります。
とはいえ、現実的に気になるのが費用です。細胞抽出費、細胞培養費、治療費(肌細胞の注入量で異なる)で、だいたいエルメスのケリーバッグを購入する位。永遠に美しい定番バッグなら高価でも価値あり、と判断する女性には決してお高くないようです。
また、サバイバル時代にぴったりのトライアスロンを趣味としているような若手男性経営者達の中にも、未来に備えて肌の再生医療に投資している人も目立ち始めたとか……。
本格的な自転車一台分の値段で、今の若々しさをキープ出来るなら価値ありということでしょう。
取材を終えて、「自分自身の肌細胞による肌の再生医療」に共感した私は、早速、新年会のスピーチで2010年のスタートに相応しい旬な話題として披露したところ、20代、30代、40代、世代を超えて女性達から強烈なリアクションが……。
「それだったら、20歳の時に戻って預けたかった」とか、「婚活が難航しそうなので、今のうちに投資する」とか、「最高に幸せと思う今の細胞を一生キープしたい」など。やはり今年も、女性の美に対するパワーがマーケットを引っ張っていく予感がします。
中村浩子なかむらひろこ
株式会社ヴィーナスプロジェクト 代表取締役社長
大学在学中より、光文社「JJ」において、ファッション・ライフスタイル担当の特派記者となる。その後、小学館「CanCam」を経て、光文社「VERY」、「姉VERY」、「STORY」の創刊記者を務める。オ…
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