今回は、不快な長雨を爽やかな気分で過ごす「色彩のマジック」についてです。前回、色には自分のモチベーションを上げ下げする心理作用、体調にも影響を与える生理作用の両方があることをお話しました。
例えば、スペインの国技として知られる「闘牛」。闘牛士は赤いマントを振って牛と闘います。興奮した牛が赤いマントに向かって突進してきますよね。でも牛は色盲です。赤に反応しているわけではありません。この赤に興奮しているのは観客の方なのです。赤は人のエネルギーの発散を促す熱い色なのです。
反対に、気分をすっきりさせたり、落ち着かせる作用のある寒い色もあります。清涼飲料水のボトルはほとんどが寒色でパッケージされていますよね。
この他に、軽い色、重い色というのがあります。これは色の「明度」を表します。
同じ重さの黒いスーツケースと白いスーツケース。違いは色だけなのに、感じる重さは黒が白の1.87倍というデータがあります。
この色彩効果を使って湿度の高いこの時期を気持ちよく過ごせる色、相手にも爽やかさを感じさせる色を使いこなしてみましょう。
代表的な色の中からお勧めの色を紹介します。
まず爽やかな色の代表、白です。すっきり清楚な印象を与えます。柄ものでも白がベースだと暑苦しくなりません。
寒色と言えば青。この色はほっそりと引き締めて見せてくれる効果もあります。青は人の気持を落ち着かせます。時期に限らず、クレーム処理をしなければならない時にはブルーのネクタイなど使ってみてはいかがでしょう。
青のなかでも明るいターコイズブルーに人は元気さを感じます。パステルブルーはやさしさ、穏やかさを演出してくれます。
黄色ならばレモンイエローなどの澄んだ明度の高い黄色はすっきりした印象とともに明るさを与え、沈んだ気持ちを一掃してくれます。
ピンクはベビーピンクや桜色。やはり明度の高いものを選びましょう。ピンクは女性らしさを象徴する色ですが、この季節あまり濃いピンクだと暑苦しく感じられ逆効果です。
グレーだったら、シルバーグレーのような光沢のある明るいグレーを選びましょう。今年はキラキラしたアイテムがトレンドですから、オシャレ度もアップします。
最後に、暗い色を着るときの色の配分に注意してください。爽やかな色を引き立てる効果のある黒やこげ茶はベイシックカラーとして使い易い色ですが、メインになってしまうと重たく見えてしまいます。黒いスーツケースのように。
「クールビズ」という言葉が定着して久しいですが、今年は、「色彩のマジック」を上手に利用して、形や素材だけではなく目にうったえるクールビズも実践してみませんか?
榊原貴子さかきばらたかこ
ファッション&カラーコンサルタント
パーソナルカラ(=個人に合う色)に基づいて、メイクアップからファッションにいたるまで、個性に合わせたパーソナル・ブランディングを提案する。女子プロゴルファーの横峯さくらへのカラーコーディネーションおよ…
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