今回は、美文字を書くコツの一つをお話します。
どうしたら綺麗に書けるようになりますか?
どのくらいで、このような字が書けるようになりますか?
よくあるご質問です。
何も考えずに闇雲に沢山書いても、あまり上達は望めません。
「意識が大事です。」
前回も申しましたが、人は文字を書くときに、記憶している字形を思い出して書きます。
書道やペン字を習った経験がある方は、綺麗なお手本を見ていますので、
その字を思い出して書いていますので綺麗なのです。
経験がない方々の中には、自署が綺麗に書けるようになるのに、時間がかかる場合が多々あります。
恐らく人生で一番目にする回数が多い文字が自署。
脳に強く記憶されてしまっていることと、腕に癖が染みついてしまっていること。
この2つが大きな要因と思われます。
書道、習字の教室へ行くと、書写を長期間するのは、そのためなのです。
書写することによって、美しい字を覚え、自分の癖を修正することができます。
字が上手な方に、親御さんが達筆である確率が高いのは、初めて字を学ぶ時、
親が教える字が綺麗だったからなのではないでしょうか。
字を書く際に、文字の形や線が、どうなっているのかをよく見て、
考えながら書くことを習慣にしてゆけば、上達への近道となります。
例えば、横線が沢山の文字でしたら、線と線の間隔が均等になっているか。
線と線の間隔が広すぎて、背高のっぽの字になっていないか。
線の長さは、どの線が短いか長いか。
一画一画の書き始め、終わる場所は、どこか。
線が交わる場所は、どの辺りか。
横線が水平ではなく、少し右上がりにして、より美しく。
というように意識して書くようにすれば、丁寧に美しく書くことが出来ます。
上達が遅い方の共通点は、速書きです。
手本を見る時間が短く、文字自体を観察できていない。
一画目を書くときに、どこの場所に書き始めれば、
空間バランス、一文字のバランス、一行のバランス等が良くなるかを考えずに、直ぐに書き始めている。
速すぎて途中で修正がきかずに、止めたい所で止められない、思った方向と違う方へ払ってしまうなど
収拾がつかない。こういったことが多く見受けられます。
いつもより、ゆっくり丁寧に、意識をしながら書くことをしてみてください。
一本一本の線が生き生きとし、形も整い、必ずやいつもと違ってくるはずです。
まずは、ご自分の名前だけでも美しく書けるようになりたいですね。
結婚式の招待状が届いたら、筆耕した美しい宛名を観察して、
自署と何処がどう違うのか比べてみてください。
頂いた年賀状の中に美文字の宛名があるかもしれませんので、探してみてはいかがでしょうか。
山本京子やまもときょうこ
書道講師
書家・書道美文字講師 東京都出身。 日本を代表するいくつかの書道展で、入選入賞をし、最高賞も受賞している書家である。東京 自由が丘、原宿で、大人の女性限定の書道美文字教室「salon de 書」を…
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