“同感”でなくてもいい、“共感”を大切に
円滑な人間関係を築くためのコミュニケーションにおいて、相手に“共感”する力、は大変重要です。普段、この“共感”という言葉は、“同感”と同じように使われていますが、心理学で使用される“共感”は、少し違うニュアンスを持っています。
“同感”とは、自分自身も相手と同じように感じること、また考えることです。しかし、“共感”は、自分自身は相手とは違う考えや感じ方を持っていたとしても、相手の気持ちに寄り添い、相手の気持ちや感じ方、考えを理解しようとすること、共に感じようとすることです。
ダイバーシティ社会においては、この“共感”力を持つことが特に大切です。ダイバーシティ社会では様々な考え方や価値観の人が集まるため、「それわかる、私も同感!」といえることは少なく、同感ありきのコミュニケーションに頼ってしまうと「私はそう思わないな」で話は終わってしまいます。「私はそう思わなかったけど、あなたはそう思うんだね。なるほどね」と相手の考えや感じ方に興味や関心を持って理解していこうとすることで、相手との信頼関係が深まるばかりでなく、自分自身も新しい視点やそれまでにはなかった発想が生まれてくるかもしれません。
“同感”ではなくても、“共感”を意識すること。それこそが、ダイバーシティ社会の中で、イノベーションを育む鍵になるのでは、と私は考えています。
渡邊洋子わたなべようこ
公認心理師
大学卒業後、株式会社博報堂に入社し、ラジオ局、新聞局で勤務。ラジオ局ではFM局の番組のスポンサー業務を、新聞局では読売新聞担当として新聞広告業務に携わる。その後出産のため退職し、専業主婦を経験。200…
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