いったい、どうしたんだろう。朝目が覚めても食事もしたくない、無気力で、体重もどんどん減って、人に会うのが嫌になって、いつのまにか家から一歩も出られない。こんな人間が本当に私? あんなに外に出るのが好きだったのに―。
はじめて挫折感を味わった29歳の頃。離婚をきっかけに、耐えられないほどのストレスに押しつぶされてしまいました。言い知れぬ不安を抱えたまま、何をするにもフラフラになって、来る日も来る日も暗い自分にイライラして……。あなたにも似たような体験はなかったでしょうか?
こういう、ひどく落ち込んだときほど、人は「もっとポジティブに考えなきゃ、人生うまくいかないよ」といった前向きな言葉をかけてくるものです。そして、落ち込んでいる側としては大きなショックを受けざるを得ません。だってこちらは不幸の真っ只中。とても積極的になろうなんて簡単に理解できる精神状態ではないのですから。
こういうときは、体がポジティブになれない状態になっているのですよね。だから積極的になれない自分を否定するより”ジッとしている”方がよかったりするのです。そうでないと心が軽くなるどころか、ますます悩んでしまう人も少なくないと思うのです。
とにかく望んでいない不幸に遭遇してしまったときは、泣いて、泣き疲れて。何もしない事が一番の解決法です。無理に明るくしようすればするほど心が痛むだけです。あとは、ただひたすらそこから抜け出す道をゆっくり考えましょう。絶望感から這い上がるためには、まず立ち止まって、心を一旦ニュートラルにしてからでないと、本当の意味で立ち直れないもの。私の経験から言うと、ドラマのように不幸のヒロインを演じてみたり、私だけどうして? と被害者気分になってみたところで、何ひとついいことはありませんでした。
結局、私がドン底から抜け出せたのは、たまたまコンビニで目に入った『とらばーゆ』と『ケイコとマナブ』のおかげでした。何の気なしにページを開くと「あ、こんな仕事、自分に合うかな」「うわっ、この会社は嫌だけど給料がいいな」なんて、なぜか社会復帰できそうな気がしてきたのです。それは、自分の心に正直になって、元気になれない自分を認めて、やっと見つけた幸せの入り口。ようやく、長く苦しい”ひきこもり生活”に別れを告げることが出来たのです。
誰にでも予告なしにやってくるのが不運です。
そのときどう対処するかは、その後の人生にとってたいへん重要なこと。
ポジティブな考え方が一時的にできなくても、それは当然。だから自分をじっくり見つめ直す時期を大切にして欲しいと思うのです。バリバリ動くことだけが頑張っているんじゃなくて、ドン底まで落ち込んで、出口を探してさまよっている時期だって十分頑張っているのですから。ほら、今より上にジャンプしようと思ったら、ヒザを思いきり曲げるとか、手を振り下ろすとか、一度姿勢を下げないと高く飛べないじゃないですか。
人生だって同じこと。ときにはとことん落ち込んで、自分の力で這い上がった後の方が、元気のオーラが格段に良かったりします。さあ、どうでしょう。すべてがうまくいかないなと感じたときは、無理をしないで徹底的に落ち込んでみる。それも悪くない選択だと思いませんか?
次回は「あなたの過去の経験はとても大切です」をお話しします。
末木佐知すえきさち
こどもみらい塾 代表
学習院女子短大卒業後、三菱商事に入社。在職中に人脈を広げ、退社後に一流企業OL500人以上をとりまとめ「丸の内OL研究所」を設立。女性のネットワークを構築する。自らも結婚・離婚・起業・高齢出産、未婚マ…
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