つけっぱなしのテレビから、何気なく流れてきた高橋尚子選手の復帰のニュース。米バージニア州で行われたハーフマラソンを見事4位でゴールしたそう。その時のインタービューで、高橋選手は爽やかに「またレースに出られるのがうれしい」と語っていたのが印象的です。
失った時間を取り戻すかのように、前を向いてひたすら走る姿は、なんだかとっても感慨深い…。誇りを持って生きている女性だからでしょうか? 苦しいときでもいつもニコニコ笑っている彼女は、知らぬ間に立ち居地を変えて、キュッと人生を締めなおしている。悔しかった過去を自ら乗り越えようとする信念の力の強さを感じます。
スポーツに限らず、ジタバタしてもどうにもならないスランプは仕事にもおうおうにしてあるものです。特に順調なときほど、思わぬ出来事があったりするものですよね。私にとって妊娠がそうでした。頭が子どものことから離れないまま企画書を練ったりしていたものだから、会議に出しても出しても結果はボツ。そのスランプが引き金になって、結局会社を辞めてフリーになって。以来、当時の仕事仲間とは少しばかり縁遠くなってしまいました。
それからの月日はあっという間。シングルマザーになって、子育てにも慣れ、やっと時間に余裕が出てきたこの頃、少しずつですが以前の仕事をお受けできるようになりました。と同時に、かつての仕事仲間と再会することが増えてきたのです。やっぱりチャンスの場にはどんどん出ていくべきですね。「スエキの復活。とにかくめでたい」とストレートに励ましてくれる人、久しぶりのメールにも関わらず「うれしい!」と喜んでくれる人、新しい縁をつないでくれる人など、待っていた人がいてくれたわけですから、回り道はしたけれどつくづく良かったなと感じています。
この5年間。予期せぬ妊娠を経験したこと、仕事が出来なくなったこと、モンモンと悩んだこと。私は全ての過去に、それなりの理由があったと思っています。過去を振り返ったとき、意外にも鮮明に記憶に残っているのは辛い時期の思い出だったりしませんか? スポ根少女だった私の場合、あまりに苦しいトレーニングも忘れられない記憶のひとつですが。
社会人の頃に夢中になった競技スキーでは、初心者同然のレベルで悔しいという気持ちから、ただただ練習に明け暮れた日々を思い出します。社内大会で優勝するまでは、スキーをかついでオフィスに出社していたほど。さらに高校時代までさかのぼれば、バスケットボール選手として練習に打ち込んでいた記憶を今でもハッキリと覚えています。順風満帆だった頃の思い出はとてもあいまいなのに、どうして苦しかった出来事ばかり思い出されるのでしょうね? きっと、絶対に勝ちたい、何としてでも成し遂げたいという信念があった頃の記憶だからかもしれません。
こういう時代は、自分も周りもどんどん理想に近づいていたときだと思います。だからこそ、今目の前にある現状に物足りなさを感じたら、過去にやり残したこと、後悔していることに挑戦してみるのも私は手だと思います。忘れていた熱意が再び掘り起こされると、自分でも驚くほど元気が沸いてくるものですよ。「苦労は買ってでもしなさい」とは、よくいったもの。私の周りでも社会人になってから大学で勉強しなおしたり、夢をかなえるために苦手な英語を特訓している友人が増えています。
以前、過去を掘り下げるというワークショップを主宰したとき「過去の自分は嫌いだから、何も思い出したくない」という人がいらっしゃいました。でも、しっかり向き合って欲しいなと思います。過去から学べることが何ひとつないとはとても思えないから。
記憶だけでなく、昔の写真が自信をくれることだってありますよね。私も輝いていた頃のアルバムに勇気付けられ、前に進めたことが幾度となくありました。神様は次にどんな試練を私に与えてくるのかな? と今でも時折ふと思うことがあります。でも、もしそれが、例えとんでもないハプニングだったとしても、乗り越える方法は自分の過去にずいぶん教わりました。だから今は焦らずに、前をむいて笑顔でドーンと構えていられるんでしょうね。
次回は「自分ブランドの磨き方」をお話しします。
末木佐知すえきさち
こどもみらい塾 代表
学習院女子短大卒業後、三菱商事に入社。在職中に人脈を広げ、退社後に一流企業OL500人以上をとりまとめ「丸の内OL研究所」を設立。女性のネットワークを構築する。自らも結婚・離婚・起業・高齢出産、未婚マ…
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