私が三越本店の販売促進というセクションで、本店全体の催事(父の日、母の日、バレンタイン等)を考え実践する仕事に携わっていた時期の事です。私はなかなか結果を出せずに苦しんでいました。
何とか結果を出したいと誰にも相談できず、一人で溜め込んでもがいていたのです。
そんなおり、社員旅行で先輩から「お前寝言で苦しい、苦しいともがいていたぞ。何か悩みがあるのなら相談して来い」と言われたのです。
先輩に心の内を相談すると、「誰もが苦しい時期はある。俺だって最初から結果が出せたわけではない。努力を重ね学びながら一歩一歩積み上げてきたんだ。努力は決して無駄にはならんぞ。苦しみもそれを乗り越えた時の事を思い、楽しんでみるつもりの心構えで臨め。苦と思わず、楽苦と思え」と根け出す為のヒントを頂いたのです。
もちろん直ぐにそう思えたことはありませんが、そんな心構えで臨んでいくと少しづつ乗り越え気が付いてみると結果がだせている自分でいました。
年を重ねるとその時見えてなかった大切な事が見えてくることがあります。
苦を楽しむ。それもそのひとつなのかもしれません。
上田比呂志うえだひろし
大人の寺子屋 縁かいな代表
大正時代創業の老舗料亭に生まれる。幼い頃より家業を手伝い、"おもてなし"という、日本文化のDNAを受け継いで育つ。1982年に大手デパート・三越に入社。同社の社内研修制度によりフロリダで開催されたウォ…