【今月の経済講師】
黒岩 祐治(ジャーナリスト)
早稲田大学政経学部卒後、フジテレビジョン入社。報道記者、番組ディレクターを経て「FNNスーパータイム」「(新)報道2001」のキャスターを21年半務め、2009年9月末退社後は大学教授やキャスターとして活躍中。
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「自分はどうするか?を工夫しろ!」
「どうなるのか?」ってよく聞かれます。日本はどうなるのか?政治はどうなるのか?景気はどうなるのか?そのたびに私は答えます。「どうなるか?」より「どうするか?」が大事ではないですかと。
私自身も痛い目に合ったことがあります。売れっ子のエコノミストが「株価が4倍くらいになる」と超強気の見通しを披露しました。それは私が担当している番組だったので、私もその見解にかけることにしました。結果、逆に株価は大きく下がり、私は大損をしました。自己責任と言われればそれまでで、文句のひとつも言えません。
しかし、彼はその後、いっさいのコメントを発しませんでした。もちろん責任など取るはずもありません。ところが、株がどん底まで下がっただろうと思われる頃に再び「これから株は上がる」と言い始めたのです。これっておかしくないですか?「どうなるか?」の話なんて所詮、そんなものです。
鳩山政権は環境・エネルギー・医療・介護など、日本の強みを活かした成長を掲げています。そして「コンクリートより人」、いのちを守る政治と言い、地域主権を目指すとしています。「どうするか?」を考える上で、大事なことは時の政権がどっちを向いて、何をしようとしているかをまずは見極めることです。
実はすでにこの大方針の下、いろいろな動きが出ています。私は厚労省科研費による「漢方・鍼灸を活用した日本型医療の創生」という研究会の座長をしています。そもそもこういう研究会が始まったというのも政権の方針に基づいているのです。先ごろ、この研究会の提言をまとめましたが、この中にもビジネスに活かせるチャンスがいくつも眠っています。
たとえば、漢方で使用する生薬の国内生産を進めることで、農業再生も目指せるだろうし、安心安全の生薬として、戦略的な輸出商品にすることも不可能ではない。植物工場や、バイオを使った日本独自の生薬開発も考えられる。生活の中の養生という漢方の考え方をうまく取り入れれば、地方の生活の中に新たな価値を見いだすこともできるだろう。「メディカルタウン」という言葉をキーワードに地域再生をイメージしてみたらどうなるか?…。
さらに医療と観光をドッキングさせたメディカルツーリズムなども、成長産業の柱の一つになる可能性を秘めています。鳩山総理の繰り返す「いのち」という言葉にこだわり、想像を膨らませると、アイデアは次から次へと膨らんでいくはずです。それが「どうするか?」のヒントになるのではないでしょうか。
「どうなるか?」の議論の中には必ずと言っていいほど、誰かに対する不平・不満が出てきます。あれがこうだからこうなるんだなどと、他人のせいにしていれば気はすむかもしれませんが、事態の改善にはつながりません。当事者意識が欠如していて、いい結果が出るはずもありません。
文句言ってる時間があれば、自分はどうするか?を工夫しろ!がけっぷちで喘いでいるみなさんにあえてそんなメッセージを送りたいと思います。
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